第58話 決戦前のきれいな夕日

 放課後。


 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

「おーい健太ー」

 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

「健太?」

 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

 ―――ブンッ

「健太!」

「はひ⁉あぁ裕太か。そんな大声で読んでどうしたんだ?」

「どうしたも何も何回呼んでもお前に届かなかったからだよ!」

「え?そうなの?ごめん、、、」

「まぁ、いいけどね」


 裕太がずっと俺のことを呼んでいたらしいのだが、全然気が付かなかった。

 それだけ集中できていたのだろうか?


 すると裕太は俺に話しかけてくる。

「いよいよ明日だけど、どうだ?」

「正直全然わからないし、不安もいっぱいってところかな」


 そう。ついに明日に迫ってきたのだ。


『全国高校選手権秋季大会第一回戦。』


 色々な意味合いを持つ試合だ。


 まず1つは、高3生が抜けてから初めての実戦であるということ。


 まあ、これはどこの高校も同じことだ。



 2つ目は、城北高校野球部の存続がかかった試合であるということ。


 高3生は夏の大会で負けたと同時にすぐに引退となった。

 吉田先輩を始めとする先輩は皆、目に涙を浮かべながら親に感謝を伝えたあと、俺たち後輩のところにやってきて、静かに

「野球部の存続の件、お前たちに任せたぞ。」

 と言ってグラウンドを去っていった。


 ―――明日の試合には、先輩たちからの期待もかかっている。―――


 そう考えると、高揚感やら、プレッシャーやらで胸がぐちゃぐちゃになってくる。


 でもそんな中で一つわかるのは、明日勝てなかったらそのすべての気持ちが恐ろしいほどのマイナスの気持ちに収束してしまうということ。


 そんな後味の悪い終わり方なんて、きっと誰も望んでいないだろう。

 だから練習前日でも、最後まで諦めずに素振りをしないといけなかった。


 でもこれは城北高校野球部の部員全員に言えることだ。


 3つ目は、、、すずに告白するかどうかが決まる試合であるということ。


 すずと今の距離感の前に決めた

「試合でヒットを打ったらすずに告白する」


 すずとの距離感がどんどん開いていってしまって、心が折れそうになっても、この裕太との間で決めたルールを思い出しては前を向いたことが何度もあった。


 その日はついに明日となった。


 不安じゃないわけがない。


 野球をはじめて数ヶ月の俺が、こんな何個ものプレッシャーを前にして平静でいられるわけがない。


 それでも明日やるべきことは変わらない。


 どんな形でもヒットを打って、チームが勝てるように頑張る。


 それだけだ。


 改めて決意を固めていると翔太もやってきた。


「何の話しとるん?」

「おう翔太、明日の話だ。」

「あー!健太は明日特に頑張れよ!」

「うん!ありがとう!」


 ちなみに翔太にも貴司にも明日ヒットを打てたら告白することは伝えている。

 ふたりとも応援してくれた。

 いい友達に恵まれたものだ。


 そんなことをおもいながら、空を見上げる。


 すると西側の空にきれいな赤色に染まっていた。

「明日は晴れだね。」

「せやな!」

「いい状態のグラウンドでできるんは嬉しいなぁー」

 三人で談笑しつつ、道具の片付けに移った。


 ________________________________________________________________________________________


 次回運命の試合始まる!

 デュエルスタンバイ‼(使い方あってますかね?www)



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