ユリス転生 新たな家族達
ユリスがルイベル子爵家に転生して、16年の月日が流れ十五才になっていた。今日も朝食を食べるため、食堂へと来ていた。
「おはよございます。母上」
「ああ、おはよ。ライル」
ライルとはユリスの新しい名だ。母親は厳格な軍人がか持ち出す空気を纏っており、とても厳しそうに見える。実際ライルは厳しく躾けられていた。
姉や、妹にも挨拶して席に着くと
「もう、兄さん遅いですよ!」
としっかり者の妹、ミーアから文句を言われた。ミーアは10才で将来が楽しみな美少女だ。ライルは嫁にはやらんと、兄バカを発病していた。
「まぁまぁ、ミーア遅いと言っても、まだ時間に遅れたわけではないだろう?」
と庇ってくれたのは姉のシオンだ。姉は髪は短く、さばさばとした性格で付き合いやすいため、以前所属していた王都の学校では、人気者だったらしい。
「お兄ちゃん。サラ、お腹すいた」
ライルにお腹が空いたと訴えたサラは、末の妹で甘えん坊だ。ライルは溺愛している
「さて、ライルも来たことだし食べ始めるとするか。自然の恵みに感謝を」
「「「感謝を」」」
当主である母親の、祈りで朝食が始まった。
「ライル」
「なんですか? 母上」
ライルが食事をしていると、母親が声をかけてきた
「すまんが、お前につけていた家庭教師を首にした」
「わかりました。母上。特に問題ありません」
ライルからしたら前世で学んだことばかりで、家庭教師がいなくても大した問題ではなかったため、平然と返事を返した。ライルはルイベル子爵家の跡取りであり、学園入学は義務に等しい。跡取りが学園を出ていないなど、家としての信用に傷が付くのだ。
「すまんな」
「いえ、もしかして、支払いがきつくなりましたか?」
「ああ、その通りだ。あのバカ旦那のせいでな!」
バカ旦那とは、共同当主だったライル達の父親である。王家が戦争の援軍が送れなかったせいで、仲の悪かった王家と東部の融和の象徴として、第3王子だった父親と、辺境伯の次女だった母親が結婚し、辺境伯が余っていた子爵位をプレゼントし、できたのがルイベル子爵家である。
「それで、借金以外の支払いは大丈夫なのですか?」
「ああ、それは大丈夫だ。実家からの支援もあるからな」
ルイベル子爵家は、父親が作った借金で窮困しており、母親の実家からの支援がなければ家を保てないのだ。
「追放したバカ親父、生きてますかね?」
「さぁな」
母親は興味がないらしく、どこか適当な返事だった。母親は普段なら汚い言葉を使えば鉄拳制裁だが、父親のことに関しては許していた。
「私は死んでいてほしいかな。本当に!」
シオンは忌々しそうにそう言った
「あんな豚と私を婚約させようとするなどゆるせない! 今思い出しても腸が煮えくり返る思いだ!」
父親は、婚約を望んでいた家とシオンを婚約させ、その見返りに金と、家から他の家族を追い出すための支援を貴族から受けるつもりだった。
「まぁまぁ、姉上。その話は潰して、馬鹿な家は取り潰したんですから」
貴族から婚約を条件に支援の確約をもらった父親は、意気揚々と家に帰ると家族を集め、追放を宣言するも、王家との裏約定で実権を握ることを認められていた、母親が拒否。逆に母親が追放宣言を出し、父親は婚約者として紹介した者と一緒に領地から追放された。まぁこのせいで、王家からの支援は無くなってしまったが。
「まぁな、実際は母上の方が偉いのに、それを知らずにその母上と家族を追放しようなど、あの時は笑いを堪えるのが大変だったな」
当時を思い出していたシオンは笑いを押し殺すのに苦労していた
「シオン! 食事中に淑女が笑いを堪えるなど、みっともないぞ!」
「申し訳ありません! 母上」
母親の指摘に慌てて謝った。母親を怒らせるなど、そんな恐ろしいことをする度胸はシオンにはなかった。
「次からは気をつけろ。ライル、勉強がなくなったが今日は何をするつもりだ?」
母親は勉強がなくなったからとだらける気なら、制裁を課すつもりだった。
「午前中は浜辺を走ったりして体力トレーニングを。午後はまだ決めていません」
「わかった。なら午後は私の書斎に来い。話がある」
「わかりました」
母親との話が終わると解散となり、ライルは自室に戻った
自室に戻り、ふと、机を見ると小さな人の形をした妖精が机のふちに腰かけていた。
「君は誰だ?」
ライルは妖精が攻撃して来なかったため、優しく尋ねた
「私はサクラ、創造主から遺跡の引き渡し役を命じられたなの」
「それで、遺跡の場所は?!」
ライルはインフラの整ってない生活から一刻も早く抜け出したかった。
「そんなに慌てないなの。創造主から追加の伝言で、アーロンがこの時代に転生しているなの」
「アーロンだって!!」
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