第3話 懐かしい名前

寝室に入りまずは返事を打つ


「もちろんです。どうしたんですか?」


夫と出会う前に別れた男、大介からだった。


学生時代から長く付き合ってきたが、

ちょっとしたケンカが元で大介から別れを切り出され音信不通になったのだった。

それまではお互いの家族とも公認の

結婚の約束もしていたはずだったのに、

別れてしまった。


その彼、大介から久しぶりの連絡だった。


誰にも知られたくなかった。

自分が激しく動揺していることを。

だから、賑やかなリビングを離れ、

暖房もつけていないひんやりとした寝室の

ベッドに腰掛けつぎの返事を待った。

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