第211話 公園暮らしのまさやん
今回お世話になった公園暮らしのおっさん。
「俺の事はまさやんとでも呼んでくれや。」
俺は今、まさやんいうおっさんと宿の温泉で湯につかりながら話をしている。
もうかれこれ10年以上路上生活をしていたらしい。
最近は公園に住み着いているそうだ。
大抵の公園にはトイレがあるので用を足すのに便利で、当然ながら水も出るので雨露さえ凌げられたら何とかなるらしい。
しかも公園には沢山の植物が生えているわけで、食べられる草も多いのだとか。
そんなまさやんだが、どうやら俺が死ぬ直前・・・・あの時は訳の分からん病気が世界中にはやってしまい、外ではずっとマスク生活だったんだよな。
で、この時のあおりで自身で経営していた会社が赤字になり、事業を泣く泣く畳んだそうな。
その後は転落の一途をたどり・・・・家族を失い、会社も失い、住む場所も失ったそうだ。
で、行きついたのがこの公園だったようだ。
俺は運がよかったのか、まさやんに出会え、こうして色々と都合の悪い事を全てやってくれている。
ありがたやありがたや。
「拝んでもなんも出えへんで。出るのは尻の穴からや!」
そう言ってくっせえおならをかますまさやん。
いやマジくせええ!!
「時と場所をわきまえろよおっさん。」
その後も「判決を言い渡す!」
とか言って湯船に半分尻を出したり、一体何もんだ?
・・・・
・・・
・・
・
「え?まじか?この21世紀に異世界転生とか?まじで?信じられんわ。」
俺は自分が日本から異世界に転生した元日本人だと説明したが、信じてもらえない。
「公園の近くに以前は住んでいたんだ。たぶん12,3年前になると思うが、自宅に何かがぶつかって、俺は部屋に居たが壁を突き破ったその物体のせいで俺は死んだ。そういった事件って覚えていないか?」
俺はまさやんに説明をした。
「あ?ちょっと待て、あれだな・・・・何やらごっつい重機、クレーンだったか?それが近くの民家に倒れ、当時二十歳前後の青年が圧死したってあったな・・・・確か苗字は・・・・」
「土砂だ。土砂剛史。」
「おお!そんな名前だったなあ・・・・ってマジか?あれ結構デカいニュースになったんだぞ?」
どうやらまさやんの記憶にもあるらしい。
「そうか、外人、しかも中坊ぐらいな餓鬼のくせにえれえ馴染んでやがるし大金は持っていやがるし変だとは思っていたんだよ!そういう事なら協力してもいいが、お前さん一体ここで何をするつもりなんだ?」
そんなの決まって・・・・あれ?何だっけ?
元自宅と家族を見つけたかったから来たはずなんだが、居なかったしそもそも自宅は無くなっていた。
だから家族の行方を確認しようと・・・・してたっけ?
いやしていないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます