第182話 樹のある生活

 樹のある生活・・・・木をふんだんに使用した住居・・・・


 というより木しか使っていないんじゃね?

 よく見る時だけではなく草も使っているみたいだが。

 それに土だな。

 壁には土を用いているようだ。

 ちょっと安心。


 そして俺とヤーナはカルラが指定した場所に入る。

「ここで靴を脱いで下さいね?」

 おお?玄関にこあがり?


 この世界の住環境って基本土足のままなんだよな。

 俺は自分の部屋を土足禁止にしている。

 敢えて布を引いてそこを移動するんだ。

 ただし布なんだよな。


 しかしここでは違った。

 そう、畳があったんだ!

 一寸ほろっと涙が出たのは内緒だ。

 日本人だったら分かるだろう?

 え?今時の家には畳が無い?

 あるっちゃあるが、イグサではなく樹脂だって?なんてこったい!


 畳って色褪せたりカビたりするからなあ。

 樹脂畳だとそれが無い?まあどんな部屋でも風通しがよくないとかびは発生するよな?

 ただなあ、樹脂畳だとあの畳独自の香りがしないんだよなあ。


 おっとそうだった、和紙を忘れちゃあいけないな!


 ・・・・つい興奮してしまった。許せええええ!!!


 俺は何故か無意識に一礼をしてから部屋へ入った。

 なんかしないといけない気がしてさ。

「何やってんのよ。ねえそれよりこの床は草でできているのかしら?」

 意外にもヤーナは初見で畳を見抜いたようだ。

「よくおわかりですわ!この床はとある草から出来上がっておりますの。」

 とある草って、この香り!イグサじゃないのか?


 その後も座布団を出された。

 どうしてもこの床が駄目な場合には座布団がよいそうな。

 というか俺はこの座布団を枕に速攻寝てしまった。

「何で寝ちゃうのよ!」

「気にしなくてもいいですわ。それよりお疲れのご様子。お布団を用意しましょう。」


「え?布団?うーん・・・・確かに私も疲れているけれど・・・・」


 俺は返事をしようとしたが、何だか頭がフワーッとして・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 俺はいつのまにか寝ていたようだ。

 目覚めたらヤーナと一緒に寝ていた。

 しかも布団が一緒だ。あれ?記憶にない。

 俺は確かにたたみでごろ寝をしていたはずだ。しかも用意してもらった座布団を枕にしていたはずなんだ。それが何故ヤーナと布団で寝ていたんだ?


 まだヤーナはぐっすり寝ている。

 周囲を見渡せば・・・・誰も居ない。

 俺は思わずヤーナの寝顔をじーっと見つめてしまった。

 相変わらずの反則級な顔だよな。

 何でこう完璧に整っているんだ?

 そして・・・・ヤーナが俺に抱き着いてきた!

 いかん!顔が近い!


 どうしてもヤーナの唇に目がいってしまう・・・・


 そのまま吸い込まれそうに・・・・


「う、うーん・・・・」

 いかんヤーナが目覚めそうだ!しかし身動きが取れん。ここはひとつ、寝たふりだ!

 俺は寝たふりを決め込んだ。

 暫くしてヤーナが起きたようで、どっかに行ってしまった。

 ふう、一寸焦ったぜ?

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