第137話 未帰還とは
俺はこの世界のダンジョンに関して、何も知らない。
興味が無い上に、行った事が無いからだ。
今後も行く機会はないだろう・・・・ないよな?
それに疑問がある。
クラン【一騎当千】のメンバーだが、過半数が未帰還とはどういう事だ?
そして中心のパーティー【大胆不敵】6名中3名の未帰還。
死んだという事か?
それとも未だダンジョンの何処かで頑張っているのか、それとも負傷等で動けなくなっているのか。
そういえば1人、女の精霊使いだったか?温泉宿泊施設に居たんだよな。
何で1人だけ?後の2人はどうしたんだ。
いかん、考え出すときりがない!
こういう時は説明を求めるべきだ!そうだそうしよう。
そう思ったが、今度は違う話のようだ。
「件の魔道具を確保してありますので、この場にて確認してほしいとの事でございます。」
魔道具を手に入れていたのか。
セバスチャンがそう言い終わると、誰か知らない奴が入ってきた。
台の上に魔道具らしき物が載せてある。
しかもこの台、見覚えがあるのだが。
これは俺が以前作った奴だよな。しかも料理を運ぶ為に作ったはずだ。
模造品ではない、俺が直接作ったやつ。
「なあ、何故台車がこのような使われ方をしているんだ??料理を運ぶ為に用意して、厨房に置いていったはずだ。」
すると国王が、
「そうなのか?その台車は中々に便利と評判でな。こうして使っている。」
それじゃあ折角厨房で使ってもらう為に用意したのに、意味がないぞ?
それとも別の台車を用意し、使っているのか?
「商人ギルドで同じ台車を数台工面していただいたので、新たな台車を厨房に運んでございます。」
魔道具を運んできた知らない人が、そんな事を言っている。
いかん、つい台車に気がいってしまったが、肝心なのは魔道具だ。
既にヤーナは食い入るように見ている。
「大丈夫だ、魔道具を手にし魔力を込めぬと発動せぬ。」
手にした瞬間、起動したら大変だ。
「これが精霊を暴走させた元凶・・・・」
ヤーナは、憎しみを込めて魔道具を見ている気がする。
「ヤーナ、待つんだ。その魔道具が悪いと決まった訳じゃない。使い方次第かもしれないんだぞ。」
「そうだった。でもこの魔道具さえなければ、と思うのよ。」
分からんでも無いが、ここで見せると言うのには何か意味があるはずだ。
「その魔道具は本来、精霊を召喚する時に術者の負担を和らげる為のものだ。」
やはりそうだ。
「だが使い方を間違えると、意図せぬ動作をしてしまう事があるのだ。」
「例えばどうなんだ?」
「既に召喚された精霊や、何かに宿っている精霊に働きかけると、稀に精霊に異変が起こるのだ。今回はそれを利用したようだ。そして高レベルの精霊使いであれば、そうした精霊の縛りを強制的に引き剥がす事も可能な代物と聞いている。」
何それ怖い。
「恐らくだが、精霊が暴走したのはこの引き剥がしの時であろう。」
何て事をするんだ!
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