第133話 セバスティアーンとステファニー

 俺達は殆ど待たされる事なく、謁見の間へと通された。

 普通は随分と待たされるはずなんだが、ここはディーデリックとサスキアの存在の影響か?

 何せ王子と王女だもんな。


 、いきなり国王夫妻と会う事になった。

 おかしい。

 何でここまで待たずに会えるんだ?まあ、会いたい訳じゃないが。


 、目の前には国王がいる。

 ででん・・・と言いたいが、思わずを連呼してしまった。

 そしてその隣には王妃が。

 以前、この2人のせいで大変な目にあったからな。

 まあクランの拠点を設置するにあたり、色々と手回しがあったようだが、そんな事であの一件が片付いた訳じゃないぞ?


 そう思っていたが、またもや国王は剣を俺に・・・・何で差し出すんだ?


 こういった事は、国王自らではなく、家臣の手により渡されるんじゃないのか?


 そして王妃の手によって盾も渡された。

「クーンよ、この盾と剣は今後ロッベモント王国の象徴となる。名は無いが。」

 どう反応したらいいんだ?

 一瞬俺が【土】で作った剣と盾のような気がしたが、俺はこんなに凝った意匠をしないから、正確にはできないからな、違うと気が付いた。。

 だから何で俺に見せるのか、理解できなかった。


「以前、我とステファニーがクーンを試した時に、クーンがこの城に残した物だ。」

 国王にそう言われ、思い出す。

 それなりに時間が経っていたが、あの時の事は今でも忘れていない。


 そうだ、盾と剣を作ったはいいが、結局使わずじまいで・・・・どうしたっけ?そのまま置き忘れていた気がする。と言うより盾と剣の存在を忘れていた。


「俺に今更どうしろと?その盾と剣は今まで失念していたし、今更返せとは言わないよ。」


「そうか、それではこのまま国で管理をしてもいいのだな?」

「管理も何も、もはや俺が【土】で作った盾と剣とはまるっきり別物じゃねえか!好きにしたらいいさ。それにこれを言いたくて、俺達をここに招いた訳じゃないんだろう?」


「言っておくが今の案件は今後我が国にとって、永きにわたり影響があるのだぞ?クーンの名が国宝の製作者として、永遠に語り継がれる事になる。」


 そんな大げさな。

 そう思ったのだが、

「これで此方とセバスティアーンがした事が赦されるとは思っていないわえ。だがこれで手打ちにしてはくれぬかえ?」

 そう言って何かを差し出す王妃。

 思わず受け取ってしまったが・・・・

 そこにはただ一言

《土砂 剛史》

 と書いてあった。

 俺は手にしていた剣を国王の喉元に、盾を王妃の顔すれすれに構えた。2人は俺の動きを目で追っていたが、抵抗するそぶりも見せない。周囲の人間にしても誰一人動かないのは何故だ?

「隠しているつもりはなかったが、聞かれなかったからな。どうして知っているんだ?」

 俺がこうする事は想定していたのか、2人は動じる様子が無い。むしろディーデリックとサスキアが狼狽えている。

「知っているのは余とステファニーだけだ。誰にも言わん。それにどうやって知ったかと言えば、スキルだな。」

「これを俺に教えてどうするつもりだ?」

「どうにもせん。クーンが所持している【神器】についてもだ。」

 神器って何だっけ?

 しばらく悩んだ末に、【ダイス】か!

 そういえばそんなのあったな。

 確か・・・・あれ?ここで使った気もするが違ったか?


「あの時の謝罪という訳ではないが、クーンが所持している【あれ】の秘密を教えてもいいが、聞くか?」

 何で知っているんだ?


 俺は知らない間に2人のペースに飲み込まれていた。



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