第119話 再会を果たすも！！
俺は無事に地面へ着地し、周囲の確認を行う。
俺が降り立ったのを誰かが目撃し、敵と勘違いされて攻撃されては本末転倒だからな。
幸いな事に？背後から敵が襲ってくる事は想定されていないのか、俺は誰にも見られる事無く武器を・・・・あ！武器が無い！
一応【土】で作っておくか。
俺は急いで盾とショートソードを作った。
そういえば以前にも急いで作った気がしたが、どうしたっけ？
注：87話で一度作成しています。
但し使用せずに放置してしまって、その後その存在を完全に忘れてしまっています。
現在細かい装飾を施され、国宝となっている事をクーンはまだ知らない・・・・
クーンは盾と剣を装備し、人の居る方に向かう。
俺はどうやってコンタクトを取るか悩んだが、声を掛ける事にした。
「増援に来たぞ！俺は元クツーゴ領のクーン・カウペルだ！」
すると誰かがやってきた。
「クーンだと！いや、確かにクーンに見えるな。どうやってここに来たんだ？」
親父だった。
「戦況はどうなんだよ親父！」
「クーンよ、見ない間にずいぶんと逞しくなったな。戦況か？よくはないな。今は魔法で凌いでいるが、相手が何者かよくわからん。」
「相手は魔族って言われているのだが、親父は知らないか？」
「魔族だと！馬鹿な！何でこの大陸に魔族がいるんだ！まさかと思うが海を渡って来たというのか？有り得ん！あいつらにはこの大陸で何かを成そうとするメリットが無いはずだ。」
意外な事に親父は魔族を知っていた。
うーん、あの商人風の魔族？あれは俺の【土】が効いていたからな。試してみるか？
「親父、俺は王都で魔族と対峙して、捕獲した事がある。試してもいいか？」
「いいがどうするつもりだ？今は壁を築いて凌いでいる。」
「壁の向こうに新たな壁を構築し、それを敵に向かって倒す。後はこっちの従魔に襲わせてみる。」
「すまんがクーン、俺の理解を超えている。まあ好きにやって見ろ。」
俺が親父と話し込んでいる間に、ニールスにいが先頭になって、王都から連れてきたクラン【以一当千】のメンバーを率いているのが見えた。
ニールスにいがこっちに走ってくる。
「父上、遅くなりました。」
「ニールスも来てくれたのか！有り難い。」
親父がニールスにいと話し始めたのだが、ヤーナが隣にやってきた。
「ねえクーン、あれがクーンのお父様？」
「そうだ。」
「私を紹介しなさいよ！」
「紹介って・・・・どう紹介したらいいんだ？」
「こ・・・・」
「こ・・・・？」
「こい・・・・こ、婚約者って言いなさいよね！」
「婚約者？え？まじで言ってんの？と言うか何時結婚の約束をしたんだ？覚えがねえぞ。」
落ち着け俺。
俺は何でヤーナに惹かれているんだ？
出会いは最悪。
その後の対応も悪かったはずだ。
だが気が付けば俺は、ヤーナを好きになっていた。
しかし・・・・貴族の令嬢を平民が娶る事などできないはず。
俺が考え込むと、親父が俺の隣に立っているヤーナに気が付いたようだ。
「おいクーン、こちらの少女は仲間か？」
「あ、ああ、ヤーナと言ってだな・・・・」
「クーンのお父様でいらっしゃいますか？初めまして。私ヤーナ・アンネリース・レインチェスと申しまして、クーンとは結婚を前提としたお付き合いをしています。」
親父がポカーンとした顔をしている。
「き、君はクーンの婚約者なのか？」
「は、はい！できればお認め頂きたいのですが・・・・」
「認めるも何も、君・・・・いえ、貴女様は貴族の令嬢ですね。」
「ど、どうしてわかるのでしょう。」
「ミドルネームがあるのは貴族の証。我々凡人はファースト・セカンドネームしかありません。」
「よくご存じですね。そうは言っても私、実家を事実上追放されておりますので、貴族扱いはしなくても・・・・」
ヤーナは最後まで言う事が出来なかった。
何故なら敵に大きな動きがあったからだ。
「すまないがこの話は後にさせていただこう。何か動きがあったようだ。」
親父がそう言って踵を返したので、俺も後を追った。
と言うよりも全員がついてきた。
あ、ニールスにいは雲外蒼天のパーティーメンバーを紹介したのか？
全員嫁さんになるとかならないとか。
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