第102話 桜梅桃李

 クラン【以一当千】には複数のパーティーが在籍している。

 主要なパーティーは

 クラン代表でもあるクーンがリーダーの【ワンチャンス】

 クラン副代表でもあるニールスがリーダーの【雲外蒼天】

 マースがリーダーの【桜梅桃李】


 このほかにも複数存在し、

【モフモフ】【一陽来復】【急がば回れ】【道化師の愛玩】【絶対領域】等々・・・・


 いや待て、色々おかしいだろ!

 一陽来復はいい。モフモフは・・・・許容範囲か?

 急がば回れはパーティー名としては微妙だが・・・・

 道化師の愛玩?道化師ってピエロだよな?意味不明。

 絶対領域って何か違う!

 因みにパーティー【絶対領域】は全員女性だったりする。いいのかこんなので。

 しかしこのパーティー、後に温泉複合施設【以一当千】においてその絶対領域を見せつけ(謎)、世の男性を大いに悩ます事となるのだが・・・・一部の女性も悩むらしいが、何に悩むのかは謎・・・・


 話は冒険者ギルドに戻るのだが、【一騎当千】を担当する受付嬢は、仕方なしにランキングを開示する。



 月間パーティーランキング。


 1位:【ワンチャンス〔以一当千〕】

 2位:【雲外蒼天〔以一当千〕】

 3位:【桜梅桃李〔以一当千〕】

 4位:【大胆不敵〔一騎当千〕】

      ・

      ・

      ・

      ・ 

 10位【絶対領域〔以一当千〕】

「は?」

 クラン【一騎当千】の代表は思わず口に出してしまった。


 何だこの以一当千というのは。

 上位3位まで全て以一当千が占めているじゃないか!何で俺のパーティーが4位なんだ?


 だが【一騎当千】の代表はまだ安心していた。

 4位~9位までは【一騎当千】所属のパーティーが独占していたからだ。


 だが、次に受付嬢が震える手で指示したランキングを見て、驚愕する事になる。



 月間クランランキング



 1位:【以一当千】:大白金貨105枚

 2位:【一騎当千】:大白金貨51枚

 3位:【食の伝道師】:大白金貨15枚

    ・

    ・

    ・


 おい!何だこれは!大白金貨100枚越えだと!


「何だこの金額は!」


 怒り狂う【一騎当千】の代表。


 ニールスは困っていた。

 原因は所属するクランにあるのだが、間の悪い事に隣に居るのだ、この厄介者が。

 そう、一騎当千のクラン代表が。

 そしてさらに間の悪い事に、席を外していたフスタが戻って来たのだ。

「ニールス様、お待たせしてしまいました。それでですね、今月の「おいそこの受付嬢!今ニールスと言ったな?」収支で・・・・は、はいい?」


 ニールスは既に手遅れだと感じ、なんとか被害を最小限に食い止めようと模索し始めたが、既に時遅し。

 ニールスは完全に囲まれてしまっていた。

 勿論相手は【一騎当千】のクランメンバー。

 今月のランキングをいち早く確認しようと、挙ってやってきていたのだ。

 こうなれば自身の身の安全と受付嬢の安全を確保しないといけない。

【厄介な事になった。いざとなれば僕とギルド職員を護ってほしい。】

 ニールスが問い掛けたのは自身の従魔。

 その名はプラウド誇り高き

【少し待て。すぐに戻ろう。】


 そう言って隠伏したまま地脈に乗り移動していった。


 そしてすぐに戻って来た。

【シロを呼んだ。直ぐに来るだろう。】


 クーンの従魔であるシロだが、クーンが工房に籠りっきりになっているので、あまり活躍の機会がない。


【其れは有り難いが、相手は人間だ。できれば怪我をさせたくない。】

【・・・・善処する。】



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る