第96話 一方的ってのも何なので

 金額がでかすぎて、俺は聞き流してしまった。

 それよりあれだ!磁器だ!できれば白磁器がいいな!

 だがあれって電気炉で焼くんだろう?

 この世界には電気が・・・・たぶんあるが使われていないようだ。何せ魔法が存在している世界、そのエネルギーたる魔素を主要なエネルギー源にしているみたいだしな。


 じゃああれか?耐熱煉瓦を作って炉を組み、魔石を用いて高熱を発生させるか?

 1350度の温度にしないといけないと書いてあったしな。


 それに釉薬や色付けの・・・・絵の具でいいのか言い方って?何やら書いてあった気がしたが、今は本が手元に無いから言い方が分からない。


 俺は思い切ってパウラさんに聞いてみる事にした。


「なあパメラさん、白磁器って知っている?」

「白磁器ですか?もちろん知っていますわ。どうかされましたか?購入したいのでしたら、クーン様の財力をもってすれば造作もありませんが、恐ろしい金額となりますよ。」


 ひょっとして、あのクランの拠点に置きっぱなしになっている食器って、可也価値があるのじゃなかろうか?売らないけど。


「俺さあ、白磁器って一度作って見たかったんだけど、色付けの絵の具やら釉薬って手に入るものなのか?それともそれすら自分で用意しないと駄目?」

 何やらポカンとした表情のパウラさん。

「あの、私聞き違いをしましたか?クーン様が白磁器をお作りになると聞こえたのですが。」

「その通りだけど。」

「無理です!」


 いきなり否定された。それも全力で。


「いや、作り方は分かるんだ。ただ色付けの絵の具があればもっと素早く綺麗に作れると思ったんだけど。」

「白磁器などの磁器は、それらを作る事のできる工房での独占ですので、情報は勿論秘匿されていますし、色付けの素材も情報が分からないので、こちらでご用意する事はできません。」

 うわ、面倒だが一から用意するか。


 土を分離させたら色々な金属も確保できるし。

「そうか、仕方がない。一から用意するよ。クランの拠点に俺専用の工房も作ってもらえる事だし、そこで・・・・この際だ、俺が全部用意すればいいんだな!じゃあ早速耐熱煉瓦からだな!」

 こうしちゃいられない!

 俺は早速工房(予定地)に向かったのだった。


「あ!ちょっとクーン様!まだお話が・・・・」


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 まだ作られていなかった。

 場所はあるから今からチャチャッとやっちまおう。


 全て耐熱煉瓦で組んでいく。

【土】スキルで壁を作った場合の耐熱が、どの程度なのかはわからないからな。


 あ、だが具体的な成分ってどうなんだ?


 俺は自分の部屋に戻り、

【DIYの基本】という本を手にし、その中に記載されている高温に耐えられる炉の作成方法を読んだ。

 先ずは耐熱煉瓦を手に入れないと話にならず、俺は早速その本の通りに作ってみた。

 ああ、俺は耐熱煉瓦だと思っていたが、本には耐火煉瓦と記載があった。


 え?何々?

 そもそも炉が無いと駄目だって?

 卵が先か鶏が先かって話じゃねえかよ!

 仕方がない、まずは【土】スキルで炉を作ってしまおう。

 そしてそうだなあ、ヤーナにサラマンダーを召喚してもらい、焼いてもらうか。

 先ずは炉を作り、何処まで耐えられるか分からんが耐火煉瓦を作ってみる事にした。

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