第91話 クランの拠点

 メイドさんによる引っ越し。

 大した荷物は無いのだが、どうせカバン一つ身一つ・・・・あれ?そう言えば本があった気がするが、何処で手に入れたんだっけ?


 なんだかんだでクランとして管理する建物を手に入れたらしいけれど、でかすぎる!

 これじゃあ学校並じゃないか!

 それにしても部屋数が多いな!

 一階は大きめの部屋があったり・・・・主に来客用の部屋が多い。

 風呂とトイレも1階にあった。

 ああそうそう、この建物は3階建てなんだ!


 ここの最後の所有者は、全てを残して死んだらしい。


 つまりどう言う事かと言えば、蔵書が沢山あるって事だ!

 それに地下があって、どうやら酒の類が大量にストックしてあったらしい。

 残念ながらここを使うのは殆どが未成年。

 セバスチャンは一応執事として働く立場に徹するらしいし、そしてメイドさん達は間違っても建物の備品に手を出さないから誰も飲まない。


 後でどうするか話し合おう。


 そして・・・・希望者には個室が用意された!

 俺も個室をゲットだぜ!

 因みに俺達カウペル一家は何故か別に大部屋を一室頂いたんだぜ!

 兄弟で過ごす事が出来る様にとの配慮らしい。


 そしてさっき触れた風呂なんだが、小さいながらも2つある!

 男女別だな。


 俺は厨房を確認したが・・・・この世界の厨房はどういう扱いなんだ?

 竈が二基あったが、厨房の真ん中に鎮座していた。何故?

 水回りは厨房用の出入り口のすぐ近くに用意してあるが、不便極まりない。

 後でいい感じに作り替えておこう。


 ああそうそう、俺が色々な物を作りやすいようにと、庭に工房を建ててくれるらしい。

 いや、自分で建てるし?

 スペースさえあれば全天候対応で用意できる!ただし土限定。


 そして肝心の厨房で料理担当となってくれたのも、やはりどこからか見つけてくれたらしい・・・・あれ?何処かで見た気がするんだが。


 俺が厨房を見ていた時に、そのおっさんが声を掛けてきた。

「よう!昨日ぶりだが覚えているか?」


 城の厨房に居たおっさんの一人だった。

「何だよあんた、城を首になったのか?」

「いや違う。ここで色々学ぶように言われ、こうしてやって来たのさ。後で此処の竈やら水回りも改造してくれるんだろう?それにあの台車だ!あれはいい!ここのも用意してほしいし、城の厨房に用意してくれた台車、もっと作ってやってくれねえか?あれじゃあまるで足りねえ。」


 俺の渾身の作品は高評価のようだ。


「うーん、もう城に行くのは勘弁願いたいからなあ。そうだ、商人ギルドで登録して売り出そう!金があるなら買ってしまえばいいんだよ!」

「俺はそれでもいいが、後々は俺も戻るつもりだからなあ。まあその前にここで働く奴はきっちり育ててやるから、食には不自由させねえぜ!」


「あ、そうだ、食器って何処に置いてあるかわかるかい?」

「何だ小僧、食器に興味があるのか?」

「興味というより作ろうと思って。ここって伯爵が住んでいたんだろう?どういった食器を使っていたのかと思ったのさ。まあ作る参考にしようかと思ったんだが。」


 おっさん暫く悩んだようだが、


「あるっちゃああるんだが、あんなの普通の人には作れないぞ。何せ食器の殆どは磁器だからな!」


 お!早速来た!


 で、見せてもらったが・・・・流石は伯爵の所有物!


 やたら綺麗なんだが。

 もしかして食器というより美術品?


 うわ!いきなり詰んだ!

 俺はそう言ったセンスがないんだよなあ。


 だがここで思わぬ助けが。

「あらクーン、何しているの?まあそれは磁器ね。フムフム・・・・流石はケンペナール家が所有していた器ね。あら?これはハウスマンス作じゃないかしら?」


 すまん、何だか人名?家名が出てきたがケンペナールというのが伯爵だった人の名字か?しかしヤーナはよく知っていたなあ。

 ハウスマンスってのは磁器を作った人の名前?それともブランド?

「いいわねこれ。ねえクーン、こういうの作りなさいよ。どうせ元は土だし。もしデザインに困るのだったら言いなさいよ。こう見えて絵心は結構あるわよ?言っておくけれど自他共に認められる出来だから!」

「うわ!自画自賛かよ!」

「あのねえ、さっき自他共に認められるって言ったでしょ?いいわ、今度私の描いた絵を見せてあげるから!」


 意外だ・・・・










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