第80話 奴隷商人

【くそ!くそくそくそくそ!あ、いかん!くそと言っていたから本当にくそがしたくなった!この私を閉じ込めるとは何者ですかな?今後の計画の邪魔になるやもしれませんね。ここから出たら真っ先に始末しないといけませんね。】


 件の商人である。


 因みにクーンの【土】スキルで完璧に閉じ込められている。

 そしてこの後、更なる追い打ちが!

 何とクーン、この囲った空間をボックス状にし、さらに台車まで作成して移動できるようにしたのだ。

「クーンにいかっけえ・・・・!!!」

「クーンにい凄い!」

 追いついた双子の感嘆に、俺のテンションは上がりまくりだぜ!

「あんたって薬草採取している時と、戦闘じゃまるっきり性格違うわね。」

 ジト目のヤーナさん。お待たせとか言わないんだな。

「もうクライマックスだぞ?というかなんで此処に?」

「そんなの後でいいでしょ、どうなっているのよ。」


 するとボックスから声が!

「小童の分際で私にこのような仕打ちをするとは!許される事ではない!さっさと出せ!!」


「お前は怪しい!怪しすぎる!このまま窒息死してくれ!」

 何か言っているがこう言っておけばいいだろう?対応的には無視だな。それより煙だ!

 幸いこっちは風上だったから俺達は煙を吸っていないが、何とかしないとな!

「ヒセラ!風で上空に煙を飛ばせないか?」

「クーンにいやってみる!」


 ヒセラは【風】を用い、上空へ・・・・と思ったがそうしなかったようだ。


 何やら煙が集まってくる。

 おお?風ってこんな事が出来るんだ。

「これ上に飛ばしちゃったらどうなるかなーなんて思ったから、集めてみたのよ!」

 おお!我が妹はできる子だった!素晴らしい!!!

「おっしゃあ、じゃあここに入れられるか?」


 指示した先は、あの商人がいるボックス。


「うんできるよ!じゃあクーンにい、穴開けて!」

 するとティーデから待ったがかかった!

「クーンにい待って!その煙を水に混ぜてから入れた方が良いんじゃない?その中のおっちゃん隙間から何かするかもだから、僕が水で蓋をしている間に煙と水を混ぜたのを入れちゃえばいい!」


 ティーデもできる子だった!

 確かに煙は水に溶けやすかったはずだよな。


 早速阿吽の呼吸ってやつ?

 何も言わなくてもタイミングばっちり!

 俺はティーデの【水】の状況を見つつ、今だと思い穴をあける。

 するとその穴の中に大量の水が入り込み、どうやら煙を取り込んだ水が全てボックスの中に入ったので、そのまま蓋をし直した。


 何やら派手な音がボックスの中から聞こえるが・・・そのうちしなくなったぞ。

 まあしぶとそうだから、あれぐらいでは死なないだろうが。


 だが既に煙を吸ってしまった従魔と人間には効果がなく、従魔は相変わらず暴れまくっているし、人間は変な動きをしている。

 俺の【土】で拘束しているのに動きが変なんだ。

 何か手足がぐにょぐにょと。


 あと偉そうにしている3人も拘束しておいた。

 やはり動きが変だ。

 絶対骨が折れているのに、何故平気な顔・・・・はしていないな。既に正気をなくしていそうだ。

 お、マースが仕事をしているな?

 暴れている従魔を再びテイムしたようだ。

 やるなあ。

「クーンさん、何とかしましたよ。何故か従魔としての契約が切れていました。煙のせいでしょうか。」

「なんだそれ。まあ後で報告しておこう。」


 そしてフロリーナ。

 一応拘束している冒険者と3人の元領主を回復させているようだ。

「あの煙が気になりますから、煙に関する影響を除外しました。」

 今度は痙攣しているがいいのか?

「怪我の方はどうします?どうやらドラゴンの襲撃と深い関わりがあるようですし、私としては怪我の回復は今回の襲撃事件がある程度解決するまで、懲罰的な意味合いも含めこのままにしておきたいのです。」

 中々シビアなフロリーナだった。

 そして既に回復しているセバスチャンが、

「この男、人ではありませんな。」


 おっといきなり危険な単語が!

「セバスチャンどういう事?」

「分かりませぬ。いわゆる【魔族】と言われる種族が別の大陸にいると聞き及んだ事がございます。」


 何だろう【魔族】って。

 お?これは久しぶりの異世界あるあるですね!

【魔族】がいるって事は【魔王】もいるのだろうか?


 え?俺の転生って、実は魔王を討伐するため?

 いやいや、ヤダなあ俺は勇者だったのか?


 注:違います。

 単なる神のミスによる転生です。

 正体は農民の4男。

 勝手にテンションアゲアゲのクーン。


 そして雲外蒼天のパーティーもこの場に合流した。



 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「なあサスキア、僕達忘れ去られていないよな?」

「まさか兄さま、兄さまを忘れるはずがありませんわ!それにドラゴンが居ますもの。」


「そ、そうだよな、僕は王子なのに存在感が薄いんじゃないかと思ったんだよ。」

「大丈夫ですわ、私達は名持ちですし。」

「何だい名持ちって?」

「何でもありませんわ。それより何か動きがあったようですわ。」

 この頃になってやっと王子と王女を探していた騎士団が到着したのだった。

「いや、もう殆ど解決したからね、遅いよ?」

 結局王子と王女の功績とはこれいかに?





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