第70話 この2人大丈夫なのか?
「よし
ディーデリック王子とフロリーナが声を掛けていた少年が天馬に跨り行こうとするも、
「兄さま、
サスキア王女と呼ばれていた少女が王子に突っ込みを。
「あれ?そうだったっけ?よく覚えていたな。」
「当然ですわ!」
「食べ物の名前じゃないか!せめて俺の天ちゃんのように似合う名前にしてやれよ!」
ビーフシチューとかビーフストロガノフとか、天馬に食べ物の名前を付けたのか?
何やってんだか!思わず突っ込んでしまったじゃないか!
俺みたいに天ちゃんとかもう少し考えてほしかったが、この2人は天然か?
俺は2人を微妙な表情で見てしまったが、さらにその俺をジト目で見ているヤーナの視線には気が付かなかった。
ついでに言えば、俺の突っ込みは見事にスルーされた。
『はあ、どっちもどっちだと思うけれど、今はそんな突っ込みは必要ないわね。それより今すぐ城に向かわないと。ここからですらあの衝撃だもの。城壁が持つかどうか怪しいけれど、辺境方面はどうなったのかしら?』
ヤーナは思わず考えた。
「今からお城に向かうのですか?」
おっと天然がここにもいた、フロリーナだ。
「当然じゃないか。サスキアよ、準備は良いか?」
王子はフロリーナに返事をしつつ、妹なのか?王女に声を掛けて・・・・自分の従魔に乗せているな。
「ばっちりですわ!では皆さまごきげんよう。あ、そうでしたわ、皆様宜しかったら後でお城へ来て下さいましね。フロリーナとヤーナでしたら顔パスですし、ね。」
王女はそう言い残し去って行った。
いや待て駄目だろ!
どうして誰も止めないんだ?
そう思ったが、ティーデとヒセラはいまいち分かっていなかったようだが、ニールスにいなんかは平伏してた!そう、ニールスにい以下雲外蒼天のメンバー全員が!
あのノールチェさんですら!
ごめんにいに、俺気が付かなかったよ!
王族ってやっぱり雲の上の存在なんだな。
は!そんな事よりあっちに行かないと!
マースですら平伏しているぞ。
平伏していないのは元貴族令嬢の2人とセバスチャン、ティーデにヒセラ、そして俺のみ。
そう言うものなのか?俺は知らなかったぞ。
「ニールスにい、もうあの2人は去ったよ!それよりどうするの?」
ニールスにいは恐る恐る顔を上げ、右に左にと首を振り・・・・
もうあの2人が居ないのを確認し、起き上がった。
「まさか王族のお二人がこんな所に居られるとは。それより王都が心配だ!あの衝撃からすると、壁は破壊されてしまったと判断すべきだ。先だってのドラゴンの襲撃で壁は手酷いダメージを負ってしまったはずだからね。」
流石にニールスも知らなかった。
自分の弟であるクーンが、魔力が余ってしまい使い切りたいという理由だけで壁を修復してしまっていた事を。
しかも王都中の壁を全て強化していたなど、知りようがない。
そしてクーンが未だドラゴンをただのでかいトカゲと思い込んでいる事を。
結果としてドラゴンをもってしても壁を突破できなかったのだが。
こうしてクーンは人知れず2度も王都を護ったのだった。
「それより皆様、先ほどのお二人を追わなくても宜しいのですか?」
セバスチャンである。
どうやら今直ぐであれば、近くの門から普通に出入りが出来そう。
「こういった時、僕は無力です。従魔をお貸ししますので、皆さん先に向かって下さい。」
天馬とわんこを差し出すマース。
何を言っているんだ!マースも来いよ!
そもそも皆1体の従魔を所持しているんだ!
俺とニールスにい、そしてマースはわんこと天馬の2体持ちなんだ!
「マース、皆従魔を所持している。お前も来い!」
「あ、そうでした!勿論私もご一緒します!」
ここにも天然が居たか!
「ではマース君、天馬を貸してくれないか?恐らく天馬に騎乗した方が早く着く。僕とクーン、セバスチャンさんとヤーナ。この4人で先行する。残った全員は
そして流石はニールスにい、この場を仕切り始めたよ!
それと何か勘違いしているようだけど、あれは伝説の魔獣なんかじゃなくでっかいわんこだよ!
まだわんこと思い込んでいるクーン。
そして今から向かおうとした時、フロリーナが、
「私は聖魔法を使えますが、後から向かった方がいいのでしょうか?」
天馬は4体。
「そうだね、ではクーン、ヤーナと共に向かってくれ。フロリーナはヤーナが騎乗するはずだった天馬へ。それと忘れていたが、誰か台車を運んでくれないか。そうだな、マース君頼めるか?それにノールチェも頼んだよ。」
流石はニールスにいだ。台車の事にまで気が付くとは。俺って今は台車を持ってきていないからな。
まあイザとなればその場で作ってしまうんだが。
こうしてクランメンバーになる予定の全員が、城へ向かい行動を開始したのだった。
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