第58話 パーティー結成の提案
フロリーナ、マース、そしてセバスチャンと合流した俺とヤーナだが、どうやらよくわからない理由から、フロリーナの薬草採取の腕前も、ヤーナ同様めきめきと上達したらしい。
俺が理由を知る由もないのだが、フロリーナとヤーナはそれぞれ公爵令嬢と侯爵令嬢という、俺からしたら雲の上の身分の2人。
似ているようで似ていない身分の2人は、仲はかなり良かったし、そして似た境遇だったのだが、一緒にいるとお互い色々とあったのだろう。
そのせいで薬草採取に関して集中できなかったのか、違う理由なのかは分からんが、2人一緒だと何かが邪魔をして覚えられなかったようだ。
それが今、2人の距離が物理的に離れていた事が幸いしたのか、恐らく2人は元々器用なのだろう、結果的に2人共めきめきと薬草採取の腕前を上げる事となった。
今では俺同様とまではいかないが、もう俺が怒り狂うような事にはならなさそうだ。
そして・・・・セバスチャンは距離を取っているようだが、フロリーナとマースの間に何か進展があったようだ。
まあ出会ってまだ大した時間も経っていないし、セバスチャンもいたから変な事にはなっていなさそうだが、まあ2人の仲がいいのはいい事だ。
夕方になり俺達一行は王都に戻ろうとしたのだが、いかん、壁が気になる。
「ちょっと待ってくれ。俺の魔力は余りまくっているから、この壁を何とかしておくよ。」
俺はまだ瓦礫の山と化している壁の残骸を利用し、再び壁として利用すべく魔法で壁を修復していった。
本当であれば昨日したかったが、人が多くて断念していたんだよな。
尤も夜暗くなってからこっそりと別の場所を修復したんだが。
ちょっときつい、が特に破損の酷い場所は修復が終わり、いい感じに魔力を消費したので王都に入った。
しかし道中、セバスチャンには教えるなと俺が言っていたからなのか、特にヤーナからこっそりと、
『ねえクーン、いつもあんな事をしているの?何だか手馴れていたわよ。』
『うん、いつもは俺が一人の時にやっちゃっているんだけど、あの状態の壁って見るに堪えなかったからな。それにほら、まだ魔力は残っているから問題ない。』
『まあ、一体クーンの魔力ってどれぐらいあるのかしらね。』
『そう言った計測する魔道具なんかがあればいいが、聞いた事が無い。』
『そう言われるとそうね。私の実家も侯爵家だけど、そう言った知識は秘伝扱いだしね。』
こんな事を話ながら冒険者ギルドで薬草を買い取ってもらい、その後は目指す食堂へ到着。
この日はニールスにいとそのパーティーメンバー、そしてティーデとヒセラと共に食事をする事に。
・・・・
・・・
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・
「クーンが王都に再びやってきてからもう1ヶ月以上経った訳だけど、今はこうして2人のお嬢さん・フロリーナさんとヤーナさん、そしてテイマーのマース君と行動を共にする事が多くなったよね。セバスチャン殿はどうするのかはわからないけれど、どうだろうクーン、このメンツでパーティーを結成したらどうだい?それにティーデとヒセラの事もある。2人がそれぞれ独立するか、新たなパーティーを結成するまで君達でパーティーを組んでも、それなりに活動が出来るんじゃないかと思っているのだけどね。」
考えてもみなかった。俺がこのメンバーでパーティー結成?
「いいわね!森でも活躍したでしょ!実力は十分あるんだからそうしなさいよ!」
ニールスにいのパーティーメンバーのノールチェさん。
そうかなあ?
その後もこの話でもちきりになり、どうやって結成するだの、メリットだのをニールスにいが語ってくれ、食事が終わると雲外蒼天のパーティーは、まだやる事があると冒険者ギルドへ行ってしまったんだ。
で、残されたのは俺とフロリーナ・ヤーナ・マース・ティーデとヒセラ、セバスチャンの7人。
このままだと1人、つまりセバスチャンはパーティーに入れないんだけど、2人の、特にフロリーナが心配でずっと付き合っていたようだから、このままパーティーを結成すれば再び元の生活をするのだろうか?
あ、そうそう、何故かパーティーって6名までという決まりがあるようなんだ。
理由はダンジョンに起因しているようだが、俺達はダンジョンには行かないだろうし、あまり関係なさそうに感じるけど。
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