第56話 酒場
1人1体の従魔を従え、マースに至っては4体の天馬と馬、そしてわんこを従えているので中々の大所帯となったせいか、目立った。
一応天馬に関しては、マースが一体所持、そしてすでにセバスチャンに譲渡しているし、できれば俺が一体、そして、ニールスにい達にも一体?
結果一体だけ手放す事に。
しかし後にこの一体も手元に戻る事になるのだが、この時は誰もそう言う事になろうとは思ってもみなかった。
マースは冒険者ギルドで天馬と馬を手放した。
馬は一般的なので手間はかからずに済ませる事が出来たが、天馬に関してはそうはいかず、暫く混乱した。
何せ天馬はA級に指定されており、それより上位はドラゴンやフェンリルクラスのような伝説級、若しくはとてつもない強さを誇っているかで、総じてS級というカテゴリーになるようで、滅多にお目にかかれないそうだ。
そしてその次のA級に関しても、滅多にお目にかかれない。
そのせいで天馬一体を譲る事に関しても時間がかかり、その有用性から何と王家の所有となったのだ。
ギルドで一時預かりとして、魔道具にて従魔契約を譲渡、そして天馬の売却代で複数の魔道具を購入、晴れてクーンはわんこと天馬の従魔2体持ちとなったのだった。
その後お腹が空いたと、ギルドの隣に併設してある酒場兼食堂で食事をする事になった。
そしてそんな景気のいいクーンと、そしてマースを睨みつけている一行があった。
元唯我独尊のパーティーである。
彼等は奴隷商に請われマースと共にテイムをしていたが、それも最初の1週間。
稼いだ金を根こそぎ奪い、その金で1ヶ月近い間遊び呆けていたのだ。
しかし流石にその金も尽き、こうして冒険者ギルドで何か楽をしてがっつり儲ける事の出来る依頼はないかと物色し、無いとわかれば酒場で飲んだくれているのだ。
そしてそんな折、見知った顔を見かけたのだ。
特にマース。
ノモズラナは腐っていた。唯我独尊の元リーダーである。
元から腐っていたのだが、奴隷商に助けられ一応恩を返そうとしたのだが、いかんせん性格は変えられず、結局1週間しかもたなかったのだ。
そして大手を振って大きな顔をする訳にもいかず、こうして仲間と共に酒を飲んでいたのだ。
そしてこの場には奴隷商の姿もあった。
いい加減仕事をしてほしいと思っていたのだが、タイミングが悪く、この場にマースが居合わせてしまったのだ。
《くっ!相変わらず使えない連中だ。しかも時間が無い!もうすぐ複数のドラゴンがこの王都を攻める予定なのだが、あの数の従魔では、中から崩壊させるのが難しい!あのお方の意向を鑑みるに、このままでは・・・・》
そして奴隷商の目の前では、かつてはそれなりの身なりだったはずだが、今や見窄らしい姿になっている3人の男が居た。
「さあしっかり食べて下さいよ。さぞやお疲れでしょう。しっかりと休んでいただき、力を蓄え、領地を取り戻すのです。」
辺境の、既に滅んだ領地の元領主である。
それぞれクツーゴ・リーバクーヨ・ギーコア、それぞれの元男爵。
既に死んだと思われていたが、こうして生き永らえていた。
奴隷商がある目的の為に、密かに救出していたのだ。
奴隷商に利用されているとも知らず、領地を取り戻す事を夢見て、妄想をしている3人。
領地は既に滅んでいて、二度と人が住めない程に徹底的に破壊尽くされているのだが、そんな事は奴隷商の知った事ではない。
「ほ、本当に取り戻せるのですかな?」
「それはもう、もうすぐ貴方達の領地を破壊したドラゴン共が王都にやってきます。それを追っ払ってしまえば、その功績で貴方達はより大きな領地を得、恐らく子爵位になるでしょう。」
そんな事になるわけがないとわかっている奴隷商だが、目の前の愚か者共は現実が見えていない。
馬鹿な奴らだ・・・・
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