第42話 わんこのテイム

 俺は何とはなしに、でっかいわんこの頭に手を置いた。

『ぐっ!何をする!』

「あー聞こえるか?」

『聞こえるが何用だ人の子よ。』

「おお!会話が成立するんだな。そっちの言葉が頭に入り込んだが、こっちのはどうかと思ったから安心したよ。だったら話は早い!俺のペットになれ!」

『何だと!誰が人間風情の・・・・ペットだと!我をペットにしようというのか?何たる屈辱!我は人には従わぬ!殺せ!』


 話し合いは決裂だったが、俺はこの時ふと閃いた。

 この世界には隷属のスキルとかはあるのか?

 テイムは似たスキルなのだろうか。

 仕方がない、こうなったら頭をぐりぐりして強引に行くしかない。

 俺は目の前のでっかいわんこの、人の頭で言えばこめかみに当たる部分に両手を置き、ぐりぐり始めた。

『ぐがあ!な、何をする!や、止めろおおお!!!!』


 どうやら急所のようだ。

「俺に下れ。そうしたら止めてやるし、その怪我を別の奴に治させてやるぞ。」


『だ、誰が・・・・と、止めてくれ!』


 効いているな!

 そして俺は閃いた。

 俺はマースの手を取り、そのままでっかいわんこに、マースを通して俺の考えを流し込んだ。何故かできると思ったんだが、何故だろう?そしてダイスを思い出す。

 ここでダイスを使うのか?まあ使わないにしても出してみよう。

 そう、何故かマースはでっかいわんこの思考が分からなかったようだから、こうしてみたんだ。

「あ、あれ?

 あ、あれ?魔獣の心が分かります!」

 今まではどうだったんだ?と思わなくもないが何だろう。まあいい、早速思いついた事をやってみよう。

 そう、俺が使うのを今まで躊躇していたあれだ。


「ここにダイスがある。このダイスの出た目で名前を決めてやろう。それとも選ぶか?」

 俺はダイスを出現させ、目の前のでっかいわんこに見せた。

『な、何!何故人間風情がそのような・・・・』

 「何だ?知っているのか?まあいい。俺は思いついた。名前を付けてしまおう。

 ペットの名前と言えば【ポチ】そしてお前の毛並みは白いから【シロ】!

 我ながらセンスが素晴らしい!」

 注:残念ながら土砂剛史=クーン・カウペルの名付けのセンスは壊滅的だった。


「よし、ダイスで決めるか、お前に選ばせてやる!【ポチ】か【シロ】どっちがいい?それともこれは10面ダイスだから、10個名前を考えて決めるか?」

『ぐっ!それだけは勘弁してくれ!そのダイスでそんな事をされてしまえば、我は今世だけではなく来世も拘束されてしまう!』

「意味が分からんが、じゃあどっちかを選ぶか?」

『ぐ・・・・で、では・・・・し、シロ・・・・』

 その瞬間、マースの手が輝きだし、俺はマースの手を取っていた事もあり何かが流れ込んできた。もう片方の手はダイスを握っている。

「クーンさん、テイムできます!僕の力ではそもそもテイムできなかったので、そのまま主をクーンさんにしますよ!」

 そんな事が出来るのか?

『ぐ!抵抗できぬ!我が人間に従がう事になろうとは・・・・無念だ!』

 この瞬間、シロが俺のペットになった。

 え?ペットじゃなく従魔だって?

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