第41話 手負いのわんこ
俺は何かにぶつかり、吹き飛んだ。
急いで【土】で俺が吹き飛んだ先に斜めの壁を作り出し、俺の吹き飛んだ威力を逃がしつつ、滑り台のように利用し最終的には殆どダメージが無い状態で地面に降り立つ事が出来た。
ぶつかった部位が痛いが、それ以外は問題なさそうだ。
さて何が起こったのか。
同行しているマース君、あいつを先ず見たが俺が突き飛ばしたおかげで無事だ。
地面に倒れているがそれだけだ。
そして次に見たのが全身血まみれになっている獣だ。
元は白い毛並みと思われる、でっかいわんこが目の前にいた。
俺にぶつかって血まみれになったのか?
いや待てよ、それにしてはずいぶんあちこち血が噴き出ているな。
『ぬかったわ!何故こんな所に人間が!』
何か頭に聞こえてきた気がするが、こいつは敵だよな。
いや待てよ?こいつってテイムできるんじゃないのか?
マース君の話だと頭に手を置くんだったな。
じゃあ拘束してしまうか。
俺は目の前の獣ってでっかいわんこだよな?そう認識しつつ、これが逃げられないように少し離れた場所に【土】で囲いを作り、そのままドーム状にしてやった。
気が付いたようだが今更だな。
『いつの間に!』
そのまま檻状を維持しつつ、範囲を狭めていく。
でっかいわんこは、俺の作り上げた檻に体当たりをしているが無駄だ!
体当たりをしようにも、ドーム状になっているから力が分散するんだ。
だが厄介だな。少しダメージを与えておくか。後でフロリーナに回復してもらえばいいしな。
俺は死なないように注意をしながら、でっかいわんこを【土】で串刺しにした。
剣山の如く無数の針状の突起物を、地面から出現させたのだ。
避けようにも逃げられず、いくつもの突起が刺さる。
『ぐがあ!人間如きにしてやられたわ!いくら負傷しているとはいえ、我が人間の攻撃で手傷を負わされるとは思ってもみなかったぞ!』
うわあ、痛そうだ。だがあんなに刺さってもまだ動く事が出来るんだな。
仕方がない。今度は身動きができないように拘束してしまおう。
俺はでっかいわんこが身動きできないようにと、新たな針を作り出し、それをでっかいわんこに突き刺し、そのまま貫通させ更に地面に方向を変えて突き刺した。
でっかいわんこの四肢はこれで封じ、胴体もこうして封じた。
流石に首を刺せば死にそうだからと、首を絞める感じで拘束。
『ぐっ!何だこれは!我の力をもってしても外れん!』
無駄だ!
俺は檻状の囲いをさらに狭め、今やでっかいわんこは、俺の【土】でくし刺しになっている上に、囲いを狭めたので完全に身動きが出来なくなった。
頭に関してだが、テイムをするのに触れる必要があるからと、囲いから出している。
『くっ!何たる屈辱!我をどうする気だ!』
「おーいマース、こいつテイムできるのか?」
俺は頭に入り込む言葉を無視し、マース君を呼び寄せる。
「うわ!僕はこんな魔獣は見た事ありませんよ。できるかどうかはやってみないと何とも言えませんが、どう見ても僕の手に負えそうにありません。」
どうするか?
「なあ、その場合はどうするんだ?」
このままテイムできなければ殺すか。俺はそんな事を思ったのだが、マース君・・・・マースでいいか・・・・からは意外な言葉が。
既にマースはでっかいわんこの頭に手を置いているんだが、何やら首を横に振っている。
「このままではやはり無理ですね。もう少し抵抗が少なくなればあるいは、かもしれません。」
「具体的にはどうするんだ?」
「この魔獣、魔物?相当レベルが高いようですので、僕では抵抗されてしまうんです。こういった場合には、もっと僕の力を上げるか、若しくは魔獣の心を折る必要があります。今すぐに僕がレベルアップ、と言うのは無理なので、心を折るしかありません。それと申し訳ありませんが僕にはこれが魔獣なのか、魔物なのか判断が出来ません。」
「心を折る?どうするんだ?」
俺は魔物と魔獣の事に関して、今はどうでもいいとマースの言葉を聞き流した。
「僕はやった事が無いのですが、もっと痛めつけて抵抗できなくさせるか・・・・但し目の前の魔獣は既に身動きが取れないので、それも無駄になるかも。」
こういう時【異世界あるある】ではどうなんだ?
日本での事を思い出せ!
どうだ・・・・?
あ、駄目だ、これはあかん奴だ。
俺はそもそもペットを飼った事が無い!
仕方がない。俺がこいつの精神に攻撃をして心を折ればいいのか。だがどうやって?
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