第44話 従魔の制約

 従魔は色々制約があるらしいが、今回のシロにもそれが当てはまり、俺がシロの他の仲間の所に案内しろと命令したんだが、

『ではこち・・・・ぐが!な、何だこれは!』

 突然シロが苦しみだしたぞ?


「どうしたんだ?」


『がはっ!な・・・・に・・・・?だ、駄目なのか!す、すまぬ主よ、仲間だった者達の所に案内する事は出来ぬ。』

 さっき助けてくれって言っていたのに?

「何だそれ?」

『案内しようとすると、激痛と共に体が動かなくなるようだ。どうやらテイムの手助けになるような行動には制限がかかるようだ。一寸待ってくれ・・・・偶然出会った魔物は問題ないが、どうやら今回のような、テイムされる前まで行動を共にしていた元仲間の所には、直接連れていってはいけないようだ。』


 なんじゃそりゃ。

 じゃあシロの仲間を助けるってのは無理なのか?

「マース、どうする?適当に森の中を進むか?」

「流石にそれは・・・・一寸待って下さい。今思いついたのですが、シロがこちらに来た道のりを逆に辿って行けばどうでしょうか。」

『それも無理だ。』


 ・・・・詰んだ?

「一寸待て、シロの案内が出来ないというのは何となくわかったが、じゃあこれはどうだ?いいかシロ、お前は俺の従魔だ。そうであれば主の安全を確保しないといけない。地面を見てみろ。獣の血が辺り一面にある。これを辿ってほしい。ぶっちゃけそんなバカな!と思うが何か分からんシステムの隙間を、これで何とかできないか?」


 多分テイムの決め事があるのだろう。

 人間側だけではなくテイムされた側にも。


 他の魔物のうち、テイム直前まで一緒にいた仲間を守る何かが作用していると見た。

 それであればこの【血】これはどうだ?

 俺はシロの血とは言わなかった。あくまで俺達に危害を加えるかもしれない魔物としてだ。

 こじつけだし、相当無理があるがどうだ?


『む、動く事が出来るようだ。主よ、ついてまいれ。』


 お、システムを突破したな。


「クーンさん、こんなのでいいのでしょうか。」

「気にしたら負けだ。さあシロがもうあんなに離れた。急ごう。」


 俺とマースはシロの跡を追っていった。

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 ぶっちゃけシロはここに来るまでに森のあちこちを破壊していったようだ。

 シロの案内が無くても、時間がかかるが辿り着いた可能性は高い。


 道中シロの話を聞いていると、どうやらシロが盾となって、仲間を怒り狂って我を見失ったドラゴンから逃がしたようだ。


 だがその時には既に仲間も瀕死の重傷、仲間を逃がす間シロはドラゴン相手に一頭で奮戦していたようだ。


 だが多勢に無勢、シロは仲間が遠く離れたのを確認、反対側に逃げ出したそうな。


 じゃあもしこのまま進めば、ドラゴンと鉢合わせ?

『その心配はいらぬ。我が離れたのを確認した後、他のドラゴンの所に戻っておるはずだ。縄張りから逃げ出した我等を、もはや追う必要は無いはず。』


 そうして暫く進んだ時、特に破壊の激しい場所に出た。

 ここでドラゴンと対峙したのだろう。


「色々調べたいが今はやめておこう。じゃあさっきとは別の血の跡を追う。シロできるか?」

 また身動きが!とならないか心配したが、できるようだ。


 システムの隙間を突いたような感じだが、一体なんだろうな。

『血の臭いが濃い。早く向かうぞ。』


 俺とマース、シロの2人と一頭は俺でもわかる血の跡を辿ってさらに奥に向かった。

・・・・

・・・

・・


 そして今目の前には数体のわんこが辛うじて生きてはいるが、血まみれで倒れていた。

 マースがテイムできるのであればわんこ祭りだ!


 俺はテイムを終えたシロの頭に触った時に気が付いてしまったのだが、実際シロの毛並みは・・・・超絶モフモフなのだ!

 モフモフは正義!と誰かが言っていた気がするが、俺もそう思う。

 ヒセラに一体あげたら喜ぶぞ!

 それにフロリーナもそう言うのが好きそうだしな。

 ヤーナのあの口の悪さもモフモフの前では・・・・モフモフは正義!

 あれで口の悪さがおさまらなかったら・・・・捨てよう。

 いいよなモフモフで駄目だったら捨てても。

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