第5話 最低の結果

「次の人。」

 俺の番がやってきた。


「名前と性別と出身地を。」


「 クーン・カウペル・男だ。クツーゴ男爵領出身。」


「ではここに手を置いて下さい。」

 俺の担当は女の人だ。

 見た目で判断すれば母程の年齢の女性。

 小太りのおばちゃんって感じだな。間違っても口には出さないが。


 俺は言われるまま指定された場所に手を置いた。

「ではクーン君のスキルを確認します。じっとしていなさい。」

 何やら装置を起動している。

「あら、何か変ね。ちょっと待ってね。」

 問題があったのか、何か調べている。

「ねえ君、これ一度もしていないわよね?」

「よくわからんが俺はこの地に初めて来た。スキルもまだ調べてもらった事はないぞ。何せこの国以外に行った事もないし、ここに来るまでクツーゴ領から出た事もない。」

「そう、なんか変なのよね。もう一度するからここに、そうねさっきは右手だったから今度は左手を置いて。」

 なんだ?俺は確かにこの地にやってきたのは初めてだ。それにクツーゴ領から出た事もなかったが、かつて二ホン・・に住んで・・・・二ホン・・ってなんだ?

 確かダイス・・・を振らされたら出た数値が1・・・・ダイス・・・って?

 何やら以前にも時々あった訳の分からん記憶がここにきてまた頭に入ってくる。いや引き出しているのか?


 よくわからんが今度は左手?

 またおばちゃんが装置を起動しているのだが、おばちゃんの様子が変だ。


「何かしらねえ。あなたのスキルは何かしら【土】?あら一つだけ?でも変ねえ。何故土なのかしら?本当なら最初の一つ目は普通ならこの場合土魔法と表示されるはずなんだけど、まあいいか。」


 いいのか?

 そして、俺のスキルは一つだったのか?

 それと必ず最初の一つは何かの属性の魔法が表示されるらしい。


 その後俺はさらに奥に進み、何やらカードを受け取った。


 名前      :【 クーン・カウペル】

 性別      :【男】

 レベル     :【1】

 ランク     :【F】

 年齢      :【10】

 住居並びに連絡先:【ロッベモント王国・クツーゴ領】

 所持スキル   :【土/0】

 身分      :【農民】

 所属      :【なし】

 賞罰      :【なし】

 ポイント残高  :【 0】

 残高      :【 0】



 どうやらこれが俺の情報らしい。


 そしてこのカードを手渡され、更に誘導されここでカードを提出、台の上にまたまた手を置くと少しチクッとしたが、どうやら血を採ったらしい。そのままカードに血を滴らされ、登録?が完了したらしい。


「このカードは今後一生君の個人情報が記載されていく事になる。全てこのカードで生活する事になるので取り扱いは注意するように。金銭もこれで解決する。」


 よくわからんがこのカードをずっと所持しないといけないらしい。

 で、どうやら特殊なカードらしく、血を垂らした事で本人しか使えないらしい。


 俺達は全員終わった訳だが、俺は領地から案内してくれたおっちゃんに肩を叩かれ、

「カウペルの倅よ、残念だったな。過去にスキルが一つって奴等もいたが、例外なく短命だった。まあお前が最初の例外になるよう願っているぜ。それに今回もそれなりにスキルが一つの奴等もいたらしい。お前達が此処に到着した時に立派な身なりの女の子が泣きながら去っていくのを見ただろう?あの女の子もスキルが一つだったらしい。まあ身分に関係なく当たり外れがあるってなもんだ。そして、今回は8つの奴が3人もいたのは驚きだったがな。」


 どうやら今回俺達と一緒にやってきた連中の中で最高の数は8。それも3人居たって事だから驚きだ。

 だがスキルが2~3の奴らも5人程いたらしい。

 で、俺同様スキルが1だった奴も2人居たそうだ。


 はあ。平均5のスキルなのに俺は1つか?

 兄貴も2つだったよな。

 この先どうすりゃいい?


 俺はこの時そんな事を考えていたんだが、俺のスキルの表記がおかしな事に気が付いていなかった。

 あのおばちゃんもまあいいかで済ませていたからあまり気に留めていなかったのだが。


 そして今日はこの王都で一泊し、翌朝領地に帰るようだ。

 金は?と思ったのだが、道中狩った魔物の素材やら魔石やら・・・・魔物を狩れば魔石を得る事ができるのだが、それらはそれなりの金額で売れるらしい。

 なので今回の魔物・・・・ボアも魔物なのか?俺的には【魔獣】という認識なんだが、あれ?何だこの知識は?


 どうも血をカードに垂らしたあたりから何かまた俺に異変が起こっているようだ。

 いや違うな、あのスキルを調べる装置を利用してからだな。

 やたら変な知識が急に湧いて出てくる、引き出すと言うべきか、まあそんな感じになったんだ。

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