魔王女様、異世界(日本)征服す

高柳神羅

第1話 魔王女様、異世界(日本)征服す

「──貴様らはわらわが眷属らを散々に罵ってくれおったが、蓋を開けてみれば何のことはない、貴様ら人間の方が比較にならぬほどの愚か者ではないか」

 我が執事セフィラの左腕を椅子代わりに腰掛けて、妾は眼前に這いつくばったまま沈黙している老人共を見下ろす。

 この『背広』と呼ばれる召し物とやらは、セフィラが身に着けておる装束に何処か似ておるな。

 宝飾らしい宝飾は襟元に着けている小さな花を模したブローチしかない質素なデザインじゃが……これがこの国における由緒正しき正装であるならば、これからこの地で生きてゆく妾らも、その作法に則るのが支配者としてのあるべき姿と言えるのじゃろう。


「今日からこの国は妾が統治する。妾の名はスーヴェニア・ルゥ・アンフェミア──此処より別なる世界軸より『門』を超えて来たりし魔王ぞ」


 ──その日、インターネットなるこの世界で普及している通信術を介して国中に、そして世界中に妾の存在と宣告が伝えられた。

 妾はこの世界を、我らが眷属が暮らしやすい第二の故郷にしてみせる。

 そのために、まずはこの地を……人間共の手により何処までも腐敗し切ったこの国を根底から作り変えてやろうぞ、と。

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