知らない番号からの着信電話
影神
着信
ある日を境に、知らない番号からの着信が
度々掛かって来る様になった。
登録されていない番号からは掛かって来ない様に
設定してあったはずなのに、、
まあ。
何かの間違いだろう。
そう思い、その時は流した。
だが。それからしばらくして。
その事を忘れた頃に再び着信があった。
ん?
何となく見覚えがあった。
連続する数字が妙に引っ掛かったのだ。
あ!
インターネットで検索すると、
見覚えのある場所だった。
そう。
それは、この間掛かって来た場所からの。
着信だったのだ。
私は気持ち悪くなり、かけ直した。
見覚えが無い番号には出ないのが常識なのだが。
きちんと登録されている、現実に存在する会社だった為。
何か私が原因かと思い、電話を掛けた。
セールスや勧誘なら、いいカモだ。
プルルルル。
人が出ると思ったら、まさかの自動アナウンスが流れた。
おいおぃ。さっき掛かって来たばっかだぞ?
本日の営業は終了しています。
営業時間内にまた、お掛け直し下さいませ。
合図の音が鳴りましたら、
ご用件とお名前をお話し下さいませ。
ピー。
すいません。多分番号間違えてますよ?
何度も掛かって来るのですが、、
確認してから電話して下さい。
本人を確認する為に。
あえて定期的に掛けたんだと。
これで、相手の性別が割れた。
そう、思っているのだと考えた。
検索をかけ。調べたが。
どう見ても関係無い。
はあ。
こんな事で、時間を使わせるなよ、、
そんな風に思った。
、、忘れよう。
なるべく気にしない様にして、
私はいつもの日常を過ごす。
会社の帰り道。
その番号は表示された。
プルルルル。
はあ。
ため息混じりに、イライラしながら電話に出る。
「もしもし?
おたくしつこいんですけど!
何か用何ですか!?
警察に通報しますよ!!?」
相手口は黙っている。
「あのさあ?
用件もねーのに電話してくんじゃねえよ!!」
そう吐き捨て、通話を切った。
その後直ぐに念の為、警察に電話した。
警察「事件ですか?事故ですか?」
「いや。あの、、
知らない番号から何度も着信が掛かって来るんですが。」
警察「そうですか、、
では。担当の者と変わりますので、
こちらの電話口様の番号でよろしいですか?」
「はい。」
警察「折り返しの電話が来るのお待ち下さい。」
「分かりました。ありがとうございました。」
警察「失礼します。」
「失礼します。」
何だかこの番号に掛けるのは、緊張する。
心臓が鼓動し、飲み物を飲もうと自販機にお金を入れる。
ヴゥー。
振動と共に知らない番号が表示される。
「はいっ。」
警察「あの○○署の者ですが。」
「はいっ。」
警察「知らない番号から掛かってくるとの事で。」
「はいっ。」
警察「電話番号を教えて下さい。」
「△△△-△△△△-△△△△です。
○○県の○○会社と言う所です。」
警察「、、分かりました。
一応。相手方の方には、
こちらから連絡はしてみますが、、
あまり、知らない番号の着信は、
出たりとか、掛け直したりというのは、
しない方が良いですよ?」
少し呆れたかの様な、口調を察する。
「まあ、わかってはいたんですが。
私が何か忘れてしまったのかと思いまして。
掛ける前にちゃんと調べたんで。」
警察「そうですか、、。
あくまでも現段階の推測ですが、
基本的には、間違え電話か、もしくは、
情報が流出してしまっている場合もあるのでね。」
「はぁ。」
警察「とりあえず、確認が取れ次第。
折り返しお電話させて頂きますので、
少々お待ちください。」
「はいっ。」
どうも、何か引っ掛かる様な、
態度が気に入らなかった。
くそっ。
全てはこの着信が原因だ。
ふざけんな。
イライラして煙草に火をつける。
それから1ヶ月もしない間に。
警察からの着信があった。
「もしもし?」
警察「こちら○○署の者ですが。」
「はいっ。」
警察「電話の事で御相談された件何ですがね、、」
「はいっ。」
警察「ここの電話。いや。会社と言いますか、、
現在使われてないんですよ。」
「はっ?」
素直にそう出てしまった。
警察「ですから、、。
この会社も、電話も。
インターネットの方では載っていますが、
現在は使われてない状態でしてね?」
「はい。」
警察「あの、。正直に話させて頂きますと、、
電話すらも。
掛かって来るハズが無いんですよ。」
「えっ、、。」
確かに何回も掛かって来て、、
留守電にすら入れた。
どういう事だ、、
頭が真っ白になった。
警察「もしもし?
もしもーし。」
「あっ、はいっ。
すいません、、」
警察「、、なのでこちらとしては、
これ以上は、、」
「はいっ、、」
警察「また。何かありましたら、
お電話下さい。」
「ありが、とう。ございました。」
まるで、変人かの様に。
あっさりとした対応をされた。
確かに、俺に電話が掛かって来たハズなのに。
聞けばその番号から掛かってくるのはおかしかった。
そしたら、この電話は。
この相手は、、一体。
誰からだったのだろうか。
誰にも相談出来なかったこのモヤモヤを。
話せる相手等居ない俺は、親に話す事にした。
「もしもし?」
親「なあに?どうしたの、
今。葬儀中なのよ、、」
「誰か亡くなったの?」
親「あなたは会った事はないのだけれど。
遠い親戚でね。
だから○○まで来てるのよ。」
、、、。
「えっ、、。」
親「ごめんっ。
また落ち着いたら掛け直すわね、」
後から聞いた話しでは。
私に掛かって来た電話の相手は、、
○○に住んでいた。
遠い親戚の方だった。
どうして、私に掛けて来たのか、。
それは、今でも分からない。
親戚は早くに奥さんを亡くして、
それを忘れるかの様に毎日仕事に
打ち込んでいたらしい。
遺体は従業員が見付けてくれて、
腐敗はそんなに進んでいなかったとか。
きっと親戚は、、。
誰かに話したかったのかも知れない。
自分が亡くなっているのを。
たまたま、携帯をずっと触っていた私が。
一番伝えやすかったのだろうか、、
それからは、電話が掛かって来る事は無かった。
こんな不思議な体験。
あなたにもあるだろうか?
普段なら出ないハズの知らない着信からの電話も。
ふとした何かのきっかけで。
掛け直す事もあるかも知れない。
けれどもその相手が。
必ずしも。この世の者であると、、
確証がある訳でもないのだ。
だから。知らない番号には、出ない事だ。
もしかすると。私は、、
呼ばれていた可能性だってあるのだから。
プルルルル。
△△△-△△△△-△△△△
「もしもし?
、、、コ、、
おたくしつこいんですけど!
ッチ、、ヘ、、、
何か用何ですか!?
オ、、
警察に通報しますよ!!?
、、イデ。。」
知らない番号からの着信電話 影神 @kagegami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます