第38話 番外編 ある男の過去4

あれから数日がたった・・・・

もう彼女とは連絡がとれなかった・・・・

実家に電話すると

あの両親は警察に連絡するぞっと

僕を脅迫する始末だ・・・・

どういうことなんだ?

なにがいけないというのだ?

僕は彼女にいいことをして

いいことを教えていた。

なのにその教えに背いて

大学の良くない友達と遊び

そして僕以外の男と遊んだ・・・・

それを咎めると彼女は怒り・・・・

連絡をたち・・・・

あのバカな彼女の両親は脅す始末・・・・

なにが悪いのだ?

僕の何が?

悪いのは彼女ではないのか?

裏切ったのは彼女ではないのか!?

裏切り・・・・・

そう彼女は裏切った!!!!!

そういうことか・・・・

そういうことだったのか!?!?!?

ドン!!

「くそくそくそくそ!!!」

ドン!!

大きく床をたたく

そして彼女が写った写真が入っているアルバムを持ち出し

一枚一枚その場に出していく

「くそ!!」

一枚とるたびに声をだした

「これも!!!これも!!!!!」

笑顔で笑う女・・・

俺を裏切ったのがそんなにうれしいか!?

そんなに楽しいか!?

するとそこには膝をつく

そして・・・

「なにがうれしい!!」

ドン!

ドン!!

「なにがおかしい!!!!」

拳を握った手は激しく床をたたく

ドン!

すると部屋を散らかした余波でかいろいろなものが転がって

近くにあったボールペンを手に取り

顔をガシガシと塗る

「あんなに愛してるって!あんなに!あんなに!!!」

言葉とともに顔は消されていく

「俺よりおまえを愛してる奴なんていない!!いるはずがない!!なのに・・・なのに・・・おまえは!!!」

彼女の名前や彼女を形容するような言葉そんなものはもう必要なかった。

なぜなら彼女は裏切りもの・・・

僕という最高の人間に対して

裏切りという最悪のことをした最悪な女・・・

ゆるさない・・・・

こんな女・・・・許さない・・・・・

俗世に染まり低能な人間たちとともになり

僕のもとを去っていったこの女・・・

一枚とっては手荒に顔を消していく

「くそ!」

「裏切りやがって!!」

うらみつらみをが後を絶つことはなかった。

何枚もの何枚の

同じ作業を繰り返して

あの女を消してやった・・・

僕という最高の人間に泥を塗ったこの女を

僕は許さない!!!

どうしてやろうか!?

どうしたらこの感情は収まるのだろうか???

なんだろうか?

この胸のモヤモヤは?

晴れない・・・・

何をやっても晴れない・・・・

世界はまた色を失った・・・・

モノクロ・・・・ではない・・・・

黒・・・・・

世界は黒く僕の心を染める・・・・

そしてその中でなにかが暴れている・・・・

何が暴れているのかはわからない・・・・

ただその暴れている何かは僕の頭の中もぐちゅぐちゃにしていく・・・・

動きをやめる

・・・・

次の瞬間

ワシャグチャワシュグチャ

と頭を激しくかきむしる

そして

ブチチチ

と髪の毛を自分の頭から引きちぎり

ドン!!!

そのまま頭を床にたたきつける

晴れない・・・

ドン!!!!!

晴れない・・・

ドン!!!!!!

晴れない!!!!!!!

ドン!!!!!!!

勢いは弱くなるどころか強くなる

加速するもう止まらない・・・・

この胸の何かは止まらない!!!!

気持ちは晴れない!!!!!

頭のもやは晴れない!!!!!!!!

ああ・・・

なんだろう?

胸の中が・・・・

なんか・・・・・・

くすぐったい・・・・・

思いが暴れて僕の中をかき乱して

それが心の隅をつくたびにくすぐったい気持ちが沸き上がる

どうしたのだろう?

なんだろう?

止まらない・・・・

止められない・・・・・

・・・・・

動きを止めた。

さっきと同じで膝たちで正面を見ている

視界がなんか赤い

でも・・・

「あははははははははは!!!!!!」

大きな声で笑いだす

こらえきれない思いが笑いとなって飛び出た

ドンドンドン!

(!!)

玄関の扉をたたく音

それと同時に

「・・・さんぃ・・・・・・か?」

ドンドンドン!!!

扉は激しくたたかれてそして誰かが呼んでいる

しかし

「あは!あはは!!あははははははははははははははははは!!!」

そんなのはどうでもいい

「あははははははははは!!!!!!」

笑いが止まらない

「はははははははははははははははは・・・・・」

何に笑ってるのか?

「はははははははははははははははははははははははは!!」

どうして笑っているのか?

「あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

そんなものはどうでもいい・・・・

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」

笑っているのはきっと・・・・

あの女に対してか・・・

その女を作り出した環境に対してか・・・・

どれにしてもそれらすべてが僕には滑稽でおかしく思えてきた。

憎しみやつらみは僕の心をかき乱した。

暴れまわった。

その生末に滑稽な真実が残った。

これがおかしくなくて何がおかしい?

もう止まらない・・・・

止められない・・・・・・・

ガチャ!!!

扉を開けられる音

その音に目を向ける

するとそこには知ったような顔と

知らない顔・・・・・

そのどれもが間の抜けた顔でこちらをみて怯えたような視線で僕を見る。

その様子は・・・・

「あはは・・・・あははははははは・・・・・あはははははははははははははははははははははははははは!!!」

面白い!!!なんて面白い顔をしているのだろうか??

こいつらはそろいもそろって

あほ面を並べてこちらを見ている!?

面白い!!おもしろすぎる!!!!

こんなの僕を笑い殺すつもりか!?

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!」

苦しい

ああ!!!苦しい!!!

息ができない!!!!

「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは・・・・・・・」

ああ

なんか・・・

光景が・・・・

霞んできた・・・・・

意識が・・・・・・

なんだか・・・・・・

遠く・・・・・

ドサ!!!!

最後に耳にしたのは自分が崩れ落ちたその音・・・

何か騒いでいるが・・・・

そんなことは・・・・

どうでもよかった・・・・・

本当に最後に感じたのは・・・・

床のひんやりとした

冷たい感触だけだった・・・・・

・・・・・・・・・・・

あれから僕は病院に入れられた

細かい事はよくわからないけど

気が付くとそこは自分の部屋ではなかった・・・・

ベットの上に僕は固定されていた・・・・

最初はなにがなんだがわからなかったが

周りの話だと僕がおかしくなって狂ったような行動をしていたために

精神病院へと入院させられたのだとか・・・・

それで異常な行動をしたから体を拘束しているとか・・・・

なんだそれ?

僕は正常だ。

異常なのは僕を裏切ったあの女

そしてあの女を汚染したこの世界・・・・

僕はいたって正常で理性的な人間だ。

グ!!!

腕に力を入れて拘束を解こうとした。

しかし

グ!!!!!

グッ!!!!!!!

なんど力を入れてもそれは解くことができない。

「くそ!!!誰か!!!!誰か!!!!」

大声を上げた

すると数人の人がやってきた。

それに対して

「おい!!!これを解け!!!!」

この状態の改善を要求した

しかし

「これはあなたのためなんです」

とか

「できません」

とか

やりたくないのかそういって僕をなだめようとしていた・・・・

「なにができないだ!!!なにが僕のためだ!!!!」

そういって訴える

「僕は普通だ!!!!こんなことをしなくても大丈夫だ!!!」

そういって拘束を解こうと精一杯動かす

しかし

拘束はやはり解くことはできずに

さらに集まっていた人間もなにもしない

「だせ!!!僕をここから出すんだ!!!」

抵抗するように

ここから出すように

僕は訴えた

しかし

答えは

「できません」

それしか言わない。

こいつらは機械か人形か?

同じことしか言わない。

きっと話が理解できないのだ・・・・

ならば

「おい!!!!誰か話が分かるやつをつれてこい!!!!」

こんな腐ったような世界に僕の話が理解できる人間は少ないだろうが

それでもゼロというわけではないだろ・・・

それなら話のわかる人間にこの状況を説明して

そして

早期にこの状態の改善をしてもらうように動いてもらわないと・・・

「おい!!聞こえてるだろ!!!!!!お前らじゃ話にならない!!!話が分かるやつを連れて来い!!!!」

そいつらにも必ず届いているはずであろう声

しかし

そいつら反応しない

「おい!!!聞こえてるだろ!!!!は・な・し!!!話が分かるやつをつれてこい!!!お前らじゃ話にならない!!!!!」

軽く挑発してあいつらの気を引くように話した

するとそいつらは明らかに嫌悪感を顔に出す

やはり聞いてないふりもできないみたいだ

「おい!!!!わかってるんだぞ!!!聞こえてるんなら早く連れて来い!!!話が分かるやつを!!!!!!」

「できません」

誰かがいうと

そいつらはこの部屋を去っていった

「おい!!まだ話は終わってないだろ!!!!!逃げるな!!!!!おい!!!!!!!」

大声でいうがそいつらはこの部屋から出ていく

「おい!!!!なに逃げてるんだ!!!!!おい!!!!話は終わってないだろ!!!!!!」

声を出すが誰もこない

僕はこの日ずっと声を出した

声が枯れるほどにずっと・・・・

ずっと・・・・・・

声を出し続けた・・・・・

この日

僕の拘束は解けることはなく

そして僕の声は届くことはなかった。

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