第23話 五日目 朝

ピピピッピ

ピピピッピ・・・

朝目覚めのアラーム

いつぶりだろうか?

アラームで目覚める朝・・・

霞が徐々に晴れて視界がはっきりとしていく

ピピピッピ

ピピピッピ・・・

鳴り続けるアラームに手を伸ばし

ピピピッ

止めた。

「ふぁぁーーー」

あくびをして体を起こした。

普通の朝

普通の寝起き

「やっぱ疲れてたんだな・・・俺・・・」

肉体的にも

そして

精神的にも・・・

いろいろなことが続いた。

不気味な部屋に

謎の現象

だがその現象は俺の気のせいという可能性もなくはない。

だがひとつだけ確かなこと

藤井さんが亡くなった。

昨日いや一昨日か?

現実を目の当たりにしてもまだどこか信じられないような気がしている。

それはなぜか?

それは今朝があまりにいつもの日常だったから

また藤井さんが現場にいったらいるんじゃないか?

そんな気がしてしまう。

でも・・・

「やめよ・・・せっかくの普通の朝なんだから・・・」

またいろいろ考え始めている自分を抑える。

そうじゃないと俺は・・・

ずっと考えてしまう。

それに今日はまた“あの”現場だ

嫌でも考える。

いや目の当たりにするのだから

せっかくの普通の朝を満喫してみよう。

っといても歯を磨いて顔をあらって

作業着に着替えて出かけるだけなのだが・・・

ここ数日は時間を持て余して手持ち無沙汰だったから

どこか忙しく過ぎる時間が今は心地よい。

本来なら余裕のない朝も日常だったと

今は感じていた。

・・・

おおよその事柄は終わり

作業着に袖を通した。

「よしっ!」

時間を見ると普段の時間

何となく普段の調子に戻ってきたのではないかと

淡い期待を自分に抱きながら

出かけるためにドアノブに手をかけた。

忘れ物はないか

頭に巡らせて部屋を出る

外は・・・

「うーん・・・」

残念ながらの曇り空

だが

「まぁ、作業はしやすいよな、きっと」

前向きな言葉。

いつからか自分の中に居座ったネガティブな感情

それを普段というほかの人からしたら

なんの意味も持たないようなことが

塗り替えてほんの少しポジティブにしてくれた

きっと今日で終わる。

“あの”部屋の作業・・・

いや、正確には終わらないが

一人で悶々としながらの作業は終わる

はず・・・

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