第9話 国王達のノリなんて分かりません
「ほぉ、“特部“の奴らが魔王と…興味深い、2人をキョクチ・ソウマとリドルを呼び出せ、実に、興味深い。」
「おい、キョクチおるか~?」
いますよ、いますとも、任務でしょ?分かってますよ。でもねぇ。
「こっちだって!!魔族の王に身体中グサグサ、グサグサ刺されて今凄い痛いんだよっ!!労われ!!少しは!」
「あ、キョクチおった、ってか、“自己再生“使ったやろ?なんで痛いん?」
「臓器とかだけですよ直したの、動脈とか切れてましたけど、そこまで再生してる時間の余裕がなかったんですよ。」
「ちなみに、これ任務ちゃうで、“国家同盟“から呼び出しくらったわ、俺ら。」
「へ?」
「そんな声出すな、次の国家会議に出席せよ、とのことだ。多分、魔王関係やろうな。」
「え、嫌ですよ?俺、今月は安静にダラダラするんですから。」
「じゃあ、今生の別れやな、行かなかったら、天国でダラダラやで?一生、」
「それは、嫌だな、行こう。」
俺は、死ぬことにかなりの恐怖が芽生えたのである。あの一言で。
(「まぁ君の選択肢としては今は天国で一生つまらん日々を送るか、地獄で鬼とイチャイチャするかの二つだね。」)
うわー、トラウマ。思い出したくもない。地獄で鬼とイチャイチャってまじで地獄じゃん。
「想像してしまうなぁ…」
「どうした?キョクチ、顔色悪いぞ?」
「だ、大丈夫です。」
絶対生きて帰ろう。
魔王軍討伐第7拠点基地
「へー、魔王と交戦した奴らがいるんですか?」
「それだけでも凄いんだけどよ、そいつら、生きて帰ったらしいぜ。」
「あぁ、そいつら“特部“の奴らかもって噂がたってるんだよ。」
「“特部“?それって…」
「え~、まじ!?“国同“から呼び出し受けてんの?すげー」
「じゃあ俺も、お供させてもらう。」
「いやお前はダメだろ、どっかの国王にタメ口で話すし、そういうノリのせいで余計な反感買うし。」
「ならばお前を斬ればいい…」
「えっ?ちょっ、まっ、なんの地雷?キレた?もしかして、キレてんの?えっ、本当に斬るの?ならこっちも本気で抵抗させてもらうぞ。」
『コールディー!!』
「…ガッ!!」
(おぉ…二話ぶりの、拷問魔法、き、きっつ、喉が凍ってクソいてぇ、これ。)
「…ほな、行こか。」
(怖ぁ…この人)
“国家同盟“特設会議会場
『今年も~、年に一度の“国同会議“を始めたいと思いまーす!!それでは皆さんかんぱーい!!」
うぉぉぉ、すごい良い意味で期待を裏切ってくれた!!
『かんぱーい!!!』
「え、パーティーですか?この会議。」
「…らしいな。」
『今回は、特別ゲストをお招きさせていただきました~!!かの魔王と交戦した、キョクチさんとリドルさんです!!』
『ワァァァーーー!!!』
((こんな、感じか。ついてけねー))
その後も、普通にパーティーを存分に満喫して、招待してくれた国王とも会った。
「いやー、君たちが、魔王と交戦したと聞いてね。このパーティーに持ってこいのゲストじゃない?ってみんな(各国の国王)に言ったら大賛成!!盛り上がるし、良いんじゃね?みたいなノリになってさー。今日は来てくれてありがとね。本当。」
「い、いえ、そんな私たちの様なものが…招待してもらえただけでも光栄です!!」
(うわっ、隊長、大阪弁じゃないぞ、直してるのかw)
「うむ、ゆっくり楽しんでいきたまえ。」
『………』
「少し…危険じゃありませんか?主。」
『良いじゃん、俺も一応、“王“だし?』
『それに、今日はただの偵察みたいなもんだよ。何もしないさ…特に。』
「….あの二人、遅いな、無礼を働いたのではないか?」
「んなわけあるかい、お前じゃないんだから。」
会いたくない奴との再開
「ちょっと、トイレ行ってきますね、隊長。」
「あぁ、てか、お前子供か、勝手に行け、そんなこといちいち報告すんな。」
隊長酔ってきてんな。俺はお酒飲むと一瞬でゲボ吐くからお酒は飲まない。
「んっと、トイレは突き当たり左っと、ここか。」
この世界は国王もだいぶ変わってんだな。まぁ、呑気で明るいのに越したことはないが。
『この状況で宴会?さぞ、余裕なんだろうな。』
「!?」
『あぁ、後ろは向くな、』
この声…聞いたことがある。
「魔王か。」
『御名刹だ……褒美だ『クロス・デッド』』
「!?…何をした!?『ブリザード!!』」
「…な、」
魔術が使えない…
『魔術を一時的に使えないようにした、無駄な抵抗はやめて…』
『死ね。』
「くっ…」
しまった…相手は魔王、油断した俺が馬鹿だ、だが…ここで死ねない!!てか、死にたくない!!
「魔王!!お前っ、一回死んだやつの気持ち考えろや!!」
『考えるか、そんなもの』
俺が殴る姿勢に入った途端に、首元が熱くなり、そのまま意識がなくなった。
「死ぬのはっや!キョクチ君。」
俺が死にたくなかった理由の一つ、“もう#エイレーネ__こいつ__#に会いたくなかったから。
「まぁ、いんじゃない?魔王の手によって直々じゃん?なんか、かっこよくない?」
「かっこよくないだろ。」
あー、異世界での生活良い線、いってたんだけどな~
「まぁ、魔王も魔王で最初はいい子だったんだけどね、キッカケって怖いよね。ほんと……」
「生き返ることは?」
「いや、無理だろ“二回目“分かる?君二回死んでるの、どっかのボールがなきゃ無理だよ。」
『おい、今、お前に死なれたら困るからな戻ってきなよ。』
「「!?」」
『リスポンス』
「…ま、またな、エイレーネ。」
「あ、あぁ。」
『死んだり、生き返ったり、忙しない人間だなぁ。』
「お前のせいだろ『ブリザー…」
『おっと、まった、君が僕に攻撃したら、会場内に潜伏してる僕の部下たちが、国王やら大臣やらを惨殺するぞ?行動には気をつけろよ』
「なに?その脅し、笑えてくるなぁ」
『?』
「魔王倒すために、国王やら、大臣やらが死んでも、誰も悲しまねぇぞ?」
『君は悪魔か…まぁ、俺は魔王だが。』
「何がしてぇ?」
『さっきは少しイラついてたから、うっかり殺しちゃったけどね、本当は友達になろうと思ってきたんだよ?』
「……は?」
『俺の部下になれ、キョクチ・ソウマ、この棲みにくい世界の理を共に潰しっ』
『ドゴォォォォォン!!!』
大きな騒音と共に魔王は壁に叩きつけられていた。
「誰が、お前の、部下に、なるって?もう一度言ってみろ……殺すぞ?」
『やっぱり人間は、野蛮だなぁ。哀れに思えてくるよ。』
『…実に、不愉快だよ、キョクチ。』
「知るかよ、魔王」
『そういえば、君にまだ名前を教えてなかったね…』
「……」
『俺の名前はアンプレーズ・パルソン、君を今から殺す#魔王__・__#だ。』
……結界を張られた、逃げ場なし、か…
「受けて立つよ、パルソン。」
俺はこの瞬間、鳥肌が止まらないほどに気分が高揚していた。
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