第2話 ステータスのカンスト
ステータスのほとんどがカンストしてる原因は恐らくあの神のせいだろう。
少し悲しいがコツコツ異世界生活が失われたのはまだいい、受付の人にこのえげつないステータスをどうやって見せろと言うのか。
隠蔽できるスキルがあればなんとかなったかもしれないが、今はスキルは二つしかない。
てか、そもそも紙に書くのだから嘘を書けばいいだけじゃないか。
うん!そうしよう!!
我ながら罪悪感を微塵も感じることがないのに恐怖を憶えつつ、嘘のステータス情報を書いた紙を渡して冒険者カードを作ってもらった。
「キョクチ様はLv1からですのでランクはEになります。」
E…恐らく底辺のランクだろう。
さて、初っ端からクエストを受ける気は起こらないな…
それにダンジョン攻略となるとソロでは受けられないものもあるからな、パーティーメンバーでも募集するか。
俺はギルドでメンバーを募集してもらっている間に街を改めて散策することにした。
いろんな店が街に並んでいる中、特に目立つのは食べ歩きを目的とした店だ。
どの店からもとてもいい匂いがする。
だが、今俺には金がない、まったく持っていない。
「…クエスト受けるか」
俺はやはりクエストを受けることにした。
ちょうど腹も空いてきた所だし早く食事を取らなければならない。
受付の人が言うには自分のランクに見合ったクエストを受けれるらしい、これは安全上の問題だとか。
「Eランクのキョクチ様はこちらの三つのクエストが受けられますよ。」
そう言ってクエストの内容を書いた紙を見せてきた。
・薬草20以上の収穫、どの種類でも可。報酬は成果に応じて。
・オーク1体の討伐。500パルー
・隣の街へ荷物を届ける 5000パルー
明らかに最後のクエストの報酬が他のクエストに比べ高い、難易度も高くない、これにしよう。
「最後のクエストでお願いします。」
「分かりました、ではこちらの荷物をこの紙に書いてある場所まで届けてください。」
なんだ、それだけか、簡単じゃないか、おつかいのようなものだろう。
俺は紙に書いてある場所に向けて、出発した。
しばらく街道を歩くと、あまり整備されていないと思われる道に出た。
…特に今まで問題は無い、問題は無いのだが、モンスターとの遭遇率が低すぎる気がする。
ここは、人里に近いとはいえ立派な森の中である、異世界である以上、モンスターとも遭遇する、はずだ。
『この先、B級モンスター生息地帯のため、注意!』
道中にこんなことを書いている立札を見つけた。
B級って結構強敵じゃないか、ここはあえてこっちの道を選んで、街に行こう、結構近道だし。
道中B級とやらのランク分けされているモンスターに出会ったが、難無く倒せてしまう。
それも素手のストレート一発で。
『ガオガッ…!!』
目の前で頭部を大きく損傷し、倒れていくモンスターを見ながら、虚しさを感じる。
「…つまらねぇ、今の結構手加減したんだけど…クリティカルヒット当たるし…ほぼ一発で終わるな。」
今度はデコピン縛りするか…
そんなことを思いつつ進んでいくといつの間にか街に出ていた。
「話には聞いたが…なかなかの街だな…」
『ようこそ!!魔王軍討伐第7拠点都市、ルトバルトへ!!』
ここから…俺の冒険が…始まってもつまらんだろうなぁ…カンストしてるし、色々と。
俺は溜息を吐くと、街門へと歩を進めた…
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