〇志低い極意
志低い極意は、謙遜ではなく本当に志が低いです。高い志はそのままそびえ立つ壁になります。すべてはモチベーションを保つため、低空飛行で書けるようにするためです。
――まず一つ目は、「管理できない要素はすっぱり諦める」です。
細かな設定、多彩な登場人物……そういったものが意欲に通じるならば、そのまま書いていく推進力になりますが、重みになれば逆効果です。設定や用語は煩雑にならない程度に収め、登場人物もメインキャラクター以外は役割の擬人化と割り切るのも立派な処世術です。
あくまで割り切るのであって、必要とあらば再登場してもいいよう、切り捨てないのは大切なことです。一番書きたいメインキャラクターに注力を絞るのもまた、モチベーションを保つすべであり、次の極意にも通じる部分でもあります。
――二つ目はズバリ、「書けない要素はすっぱり諦める」です。
書けないものは書けません。なにせ書けませんから。書けないものを書けるように努力するのではなく、書かなくて済む方法を探した方が労力も少なくて済み、挫折を回避できるはずです。
仮にもし『ジャンル』や『テーマ』と深く結びついた描写が描けないのであれば、それ自体は大きな損失となってしまうので、なんらかの要素を付け加えて補うことをお勧めします。参考が拙作になってしまって手前味噌ですが、こちらでは戦闘描写の駆け引きが描けなかったので、カットしてゲームシナリオ風に整形。代わりにルート分岐などで別の魅力を補填しました。これが正しい方法かはさておき、書ききれた大きな理由にはなったので、一つ選択肢として述べられるものでしょう。
二つの志低い極意に共通するのは、「無理をしない」です。
カクヨムにおける長編の定義は八万文字から。仮に一日原稿用紙一枚分の四百文字書いたとしても、半年はかかります。まずなにを書くかの構想を立てたり、書いてからの改稿・修正も含めれば、一年かかるか……。大学の卒論も三万文字前後、既に常人の無理に相当しているのです。
それ以上の無理を抱えれば、モチベーションを保てず筆を置いてしまうのは必定。「書ききれるか心配」という後顧の憂いは断ち切って損はありません。人によっては甘えだと断じられてしまうかもしれませんが、志低く「たまたま」書けてから甘えずストイックになろうと考えればいいのです。
まずは書いてから! ……それに他なりません。
以上、志低い極意でした。
最後に総括を行い、本著を締めさせていただきます。
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