多分カクヨムで一番志の低い創作論

羅田 灯油

本文

〇前書きと一番大切なこと


 一番に述べておくと、残念ながら本著は真面目な『執筆入門』や『小説講座』に類するものではありません。

 ならばどうして本著が書かれたかと言えば、それは個人的な備忘録に他ならないからです。


 創作愛好者の中には、「設定はできたけど本文は書けていない(書けない)」「二次創作は沢山書いてきたけど、やっぱり一次創作を書きたい!」といった願望を秘めている方も、少なからずいると思います。まさしく筆者自身がそうでした。書けない状態に大きな不満はないものの、やはり自分だけの世界や物語への憧憬は忘れられない……そんな中、たまたま約二十二万文字の一次創作が書けたという、「たまたま」の理由を掘り起こしたのが本著となります。


 本著における一番大切なこと、それは

 「たまたま」の理由をすべて集約すれば、これに辿り着きました。これに勝るものはありません。


 筆力や語彙が執筆における体力ならば、モチベーションとは、いわば精神力です。

 どんな文豪もスランプになれば長編を書けなくなるように、錯覚だとしてもモチベーションが安定して供給され続ければ、書き切れる確率は大なり小なり上がるはずです。「出ない傑作より出る駄作」とは耳が痛くなるほどよく聞きますが……駄作と自認して尚も筆を走らせ続けられる人が、一体何人いるでしょうか。せめて自分の中では傑作と認識して書く方が、出せる確率も上がるでしょう。

 なので、以降の書くための下ごしらえはすべて、本著ではこのモチベーションの捻出にほぼすべての重きを置いています。

 胸躍るストーリーを生み出す思考術も、魅力的なキャラクターを描き出す語彙力も、本著にはありません。きちんとしたプロの解説がない分、ある程度文章を書かれる方対象になると思われます。むしろ講座や入門を読みながらも、「それでも書けない……でも書きたい!」といった方には、小さな一助となるかもしれません。


 それでは前置きはこれくらいにして、そんな類稀なる志の低さを誇る『おはなしのかきかた』は、次のページからどうぞ。

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