復刻の魔女~魔法を解くのはキスを待って~

まるめぐ

第1話 クレアとウィンストン家の兄弟

「後悔はしないんじゃな?」


 蝋燭ろうそく灯りだけの薄暗い質素な木小屋の中、したたかに古き魔女は問うた。


「ああ、この先も彼女が笑ってくれるなら」


 既に疲労困憊を隠せない男はどこか諦観にも似た面持ちで、それでも口元に薄く満足を滲ませて笑った。


「……ふむ、難儀な男じゃ」


 魔女はふと深い帽子の奥から底光るような金の目でじっと男の目の奥を見つめた。あたかもそこに何か真実があるかのように。


「まあよい。ならばウィンストンの倅よ、代償と引き換えになんじの願いを叶えよう」


 厳かとも傲慢ごうまんとも言える魔女の誓約の言葉に男は静かに目を閉じる。

 魔法には得てして対価や代償が付きものと言われるが、それは真実だった。

 そしてそれすら払えば魔法は絶対的効力を持つ。


 この取引の代償、それは――この男の人生そのもの。


 つまりは、彼という個の死を意味していた。






「ねえクレア、この世で一番尊くて恐ろしい魔法は何だと思う?」


 クレアが八歳の時、その頃はまだ生きていた母親が謎かけをした。


「えーとお~、尊いのは癒しの魔法? ……でも恐ろしいって言うのは違うし……。恐ろしいのはやっぱり人を殺しちゃう魔法だと思うけど、尊くはないし」


 白壁の部屋の真っ白いベッドの上に半身を起こす母親は痩せこけて、その頃には背中に三つクッションを入れてようやく体のバランスを保てていた。

 子供ながらにその弱々しさに不安を掻き立てられたけれど、クレアはいつも笑顔でいるように心掛けた。

 クレアが笑わないと母親が悲しむような気がしていたからだ。


「えーわかんないよ母様かあさま


 ベッドの端に腰掛けてしばらくあーだこーだと悩んでみても答えは出ず、クレアは降参する。


「ふふっ、ほんとうに降参?」

「だってわかんないんだもん」


 アヒルのように唇を突き出して拗ねるクレアへと、母親は「そうねえ~じゃあ教えてあげようかしら?」なんて勿体を付けて微笑むとクレアに内緒話をするように耳元に顔を近付けた。


「それはね――――……」


 あの時母親が何と言ったのか、クレアは覚えていない。

 吐息が擽ったくて笑いながらベッドを転がったのは覚えているのに。

 クレアはふとした瞬間にその問いかけを思い出し思案するけれど、考えても考えてもしっくりくる答えは出ない。相変わらず母親の言葉を思い出せもしない。

 その時の自分にはわかるようでよくわからなかった言葉だったのかもしれない。


「確かに聞いたんだけどなあ……」


 母親のあの謎かけは、今もずっとクレアの胸にくすぶり続けている。

 答えは記憶の底に置き去られ、過去に封じられたまま。






「規模の大小はあれ、大砲や戦車さえも駆逐できてしまうのが魔法だ。時空すら超越するとも言われておる。では何故魔法という破格の武器があるにもかかわらず、兵器の行使や白兵戦などという古典的な戦法が未だに絶えないか? ではこの問いを――クレア・ローランド、答えよ」

「はい。それは、魔法使いは強力であるが故に脆弱な存在でもあるためです。強力な魔法の使い手であればある程、魔法を使い続けるうちに負荷が体を蝕み短命になる傾向があるせいです」

「左様。よく勉強しておるな」


 及第点の回答に魔法学概論担当の白髪講師が自慢の白いあごひげしごいて満足げに頷く。

 ここはとある中等学校。

 老人は年若い生徒たちに魔法についてを教えてはいるが、彼自身は魔法使いではない。

 しかし見るからに魔法使い然としているので、実は魔法使いなのを隠しているだけではと、生徒たちからは密かに囁かれていた。


「物理法則を覆したり強い影響を及ぼす魔法を使う者は総じて薄命だ」


 そう、兵器以上の魔法を使う者の中には、一度でも全力を出せば使い物にならなくなる者もいると聞く。


「更には魔法の全盛期だった千年前に比べると魔法使いの絶対数は圧倒的に少なくなり、比例して多くの魔法も継承者なくして失われた。かつてと比べ汎用はんよう魔法が少ない現代、魔法使いの能力は個性が色濃く扱い辛いときている。適材適所を見誤ると弊害の方が表立つ。その上、一騎当千の魔法使いは一握りの中の一握りと希少」


 故に、国によっては存在を宝とされ秘匿されることもある。


「希少であるからこそ、この国も外国に違わず魔法使いは好待遇で迎えられており、中には平民から貴族になる者もいる程だ。大出世だな。これがこの時代の魔法使いを取り巻く現状だ。皆皆、わかったかね?」


 ベテランの感覚の賜か、講師が皮の厚い掌の上でパタンと辞書同然の重たそうな教科書を閉じたところで、ちょうど終業のベルが鳴った。


(そりゃあ結局は王国の雇われだし、毎回毎回耳触りの良い言葉ばっかりよね)


 机の上でトントンと教科書とノートの端を揃え筆記具を布製のペンケースに仕舞いながら、クレアはどこか白けた心地で教室を後にする白髪講師を目で追った。


 ……世界の国々は有事の際の最後の切り札として、魔法使いを飼っている。


 クレアはそう思っている。

 飼うなどと言い方が悪いようではあるが、事実だ。

 ただしそれは最高級の餌を与えられての飼育だ。

 それを良しとするか否とするかは魔法使い個々人によるだろう。


 クレアはそんな世界を苦々しく思う。


 何故なら、クレアの母親はそうやって使い潰された魔法使いだったから。






 魔法使いは国の宝。

 故に国は様々な点で彼らを優遇している。


 ただそれはいくらかでも魔力があった場合の話だ。


「何度も言うけど魔力がないからって、お金までないわけじゃないですう~!」


 少女の吊り上げられた緑瞳の上で薔薇のように赤い前髪が跳ねる。

 緑と赤で好対照なので双方の色味が見る者には際立って見える。

 つまりは印象に残り易い容姿だった。


「だからどうしてお前ってそこまで頑固なんだよ。親父だっていつも必要なものは遠慮するなって言ってるだろ。いい加減遠慮するなって」


 その赤に絡むように黒髪が少女の額に押し付けられる。

 青い目をした少年のもので、二人は中等学校生で同い年。

 そして何故か互いの両手を取っ組み合わせて力比べのような体勢になった。


「ぐぎぎぎ……っイヤよ。バートおじ様のご厚意は有難いけどあたしは居候の身なの。うちのお父さんだって毎月ちゃんと仕送りしてくれてるんだしお金はありますうー」

「ぐぬぬぬ……っそう言う問題じゃない。そうやってお前がいつまでたっても一線引いてるとことか、親父達が気にしてんの知ってるだろ」

「だからってブライアンに買ってもらう義理はないでしょ」

「これは俺の金じゃない」


 決闘する鹿のように額を突き合わせていがみ合っていた二人だが、少女の方が意外そうに顔を離す。そして、


「ケチくさ」


 緑瞳を呆れたような半眼にし、失望したようにぼそりと呟いた。


「ぐッ……じゃあ俺の金なら大人しく言うこと聞くのか?」

「余計に御免だわ」

「だよな!」


 少年がヤケクソのように同意した。

 ここは町で唯一の商店街。

 軒を連ねる白や茶色の石造りや煉瓦造りの店店が、二人の左右に伸びている。白い石材一色の店もあれば、色味を遊ばせるように数種類の色煉瓦を駆使した洒落た外装の店もあった。


「ってことで口出ししないでよね」

「んなわけにいくか。この岩りんご!」

「はああ!? 何よそれりんごの新種!? それとも岩の新種!?」

「ははっ融通利かないクレアの石っつか岩頭にぴったりだろ」


 学校かばんを足元に置く赤毛の少女クレアは、学校帰りに町の図書館に寄っての今が帰り道。

 白いブラウスに紺のリボン、チャコールグレイのベストに同色の膝丈ひだスカート、黒のハイソックスにこげ茶色で短めの編み上げブーツ。

 これが町の中等学校の制服だ。

 クレアの結ばれていないきれいな赤毛は肩から背に流れるように垂らされている。


 それが勢いよく弾んだ。


 ――ゴッ!


 とっくに学校から帰宅し再び出て来ていた少年ブライアンは、その痛烈な衝撃のままに首を仰け反らせた。


 ちなみに軽装を好む彼の方は襟付きの黒っぽいシャツに薄茶のズボン、その裾をブーツにインしたどこにでもいる庶民の少年の出で立ちだ。


「おまッ、頭突き……ッッ!?」


 額を押さえしゃがみ込むブライアンに、クレアは不遜に顎を上げた。彼女の母親譲りの瞳は、今はどこか意固地だ。


「はんっ、岩りんごをたっぷりとご堪能頂けたかしら?」

「ぐっ……お前ホントに女子か!?」

「どうとでも。じゃああたし行くから」

「あっちょっ待てってケーキは俺が買うっ」

「だーかーらっブライアンに関係ないでしょ」

「大ありだ。――クレアの誕生日だろ!」

「……」


 動揺に揺れるクレアの瞳に真っ直ぐ絡む深い湖のようなブライアンの青い瞳。


「言っとくけどな、親父もお袋も屋敷の皆に言って今日は張り切って飾り付けまでして家で準備してるんだぞ」

「それはわかってるわ。だからケーキくらいはあたしが自分で用意しなきゃって思って……」

「律儀なやつ。祝われる側が何言ってんだよ」

「……自分でお祝い準備して皆に祝ってもらう地域だってあるじゃない」

「ここは違うだろ」

「そうだけど……」


 そうやって一年のこの日、クレアの一日は特別な一日になる。


 今日はクレアの十四歳の誕生日。






 クレアが眼前の少年ブライアンの家にお世話になって三年は経つ。それまでは父親と二人この小さな町で暮らしていたけれど、父親が仕事の関係で長期間家を空ける頻度が高くなり、我が子を心配した父親が親友にクレアの面倒を頼んだのをきっかけに居候生活が始まった。

 そもそも他でも良かったのにこの町に越してきたのも二人の友情の賜だろう。

 父親の親友とはブライアンの父バート・ウィンストン。

 この町を含むウィズランド領を治める伯爵だ。

 因みにラストネームのウィンストンではなく領地名を冠してウィズランド伯爵と呼ばれる。過去にこの地を治める一族は何度と変わっていて、ラストネームだとその都度伯爵名が変わり覚えにくいためだ。それ程に頻繁に変わっていた時代が昔はあったのだ。

 伯爵は快くクレアを引き受けてくれた。子供が息子だけだったので実は娘が欲しかった夫人は特に大喜びしてクレアを可愛がってくれている。


(何でそんなに皆……。今までだったら……)


 父親が仕事でいない時は、ケーキを一人きりで食べた日もあった。


「観念しろって。だって前みたいにお前また公園でさあ……」

「は!? ちょっそれは蒸し返さないでよっ!」


 伯爵家に暮らし始めて間もない頃、クレアは公園のベンチで蝋燭ろうそくを一人で吹き消してケーキを食べようとしている孤独な場面を、何と見られてしまったのだ。

 たまたま用事で寄宿学校から帰って来ていた三つ年上のブライアンの兄ニコラスと、兄を迎えにでも行っていたのかクレアと同じ地元の初等学校に通っていたブライアンに。


 あれは何と言うかまあ、ぼっちの究極シーンだった。


 ブライアンは兄の手荷物を落として衝撃を受け、ニコラスは何とも言えない表情を浮かべていて、とにかくかなり気まずかった。


『はは……は。誕生日にホール一人食いって……太るぞ?』

『ううう五月蠅いっ! 放っといて!』


 どうにか場を和ませようと茶化したブライアンの言葉は全くの逆効果で、クレアはこの上ない羞恥心に突っけんどんな態度になってしまった挙句、わなわなと震えながらも涙ぐんだ。


『えッ、ちょっ、何で泣くんだよ!?』


 大いに焦ったブライアンの横では兄のニコラスが駄目だこりゃ的に額に手を当て首を横に振っていた。

 クレアは何て最悪な日だと、もう二人を無視してケーキを手掴みで自棄食いしてやろうとした。

 けれど慌てたニコラスから止められた。何なんだと渋々動きを止めていると、彼はおろおろするブライアンを促して二人でクレアを挟んでベンチに座った。


『クレア、僕達にも祝わせて』


 そんなニコラスの言葉にブライアンもはっとしてクレアを見つめてきた。


『そ、そのケーキ俺達も食うの手伝ってやるよ。あと、変なこと言って悪かったな』


 二者二様の言いようにクレアは目を白黒させたが、左右から期待の目で覗き込まれて頷かないわけにはいかなかった。

 実は結構嬉しかったから。

 そうして三人でホールケーキを完食した思い出は生涯クレアの記憶から消えないだろう。


 去年は去年で、ウィンストン家総出で祝われた。この日はこの日で印象に残る思い出になった。

 今年も今年でこうしてブライアンが動いてくれている。


「お前さ、同じ家で暮らしてんだしもっと甘えていいんだって。口では色々言うけど本当はわかってるだろ」

「それは……」


 クレアは拗ねたようにそっぽを向いて少しだけ俯く。

 六年前、クレアが八歳の時に若くして妻に先立たれた父親は、仕事に没頭することで心痛を忘れていたいと願ったのだろうか。ここ近年などは仕事の合間に帰ってくるほんの数日は一緒に過ごすけれど、口数も笑顔も少なくて、その横顔はいつもどこか哀しげで、でもクレアを見る眼差しはいつも温かかった。

 愛情は確かにもらっている。しかし大好きな父親と離れているのは本当はすごく寂しい。父親は仕事で一人なのにクレアだけが皆と仲良く幸せでいいのかと思う日もあった。

 律儀に距離を置いているのは余りにも居心地が良くなり過ぎるのを恐れているからだ。

 けれどウィンストン一家が大好きで彼らの住む屋敷がホッとできる場所になっている。もう手遅れなのかもしれなかった。


「あたしは居候なの。そんなに甘えられない」

「ホント意地っ張り」


 双方次の言葉を思い付かず何だか妙な沈黙が続いていると、頭上から大きな黒い影が差した。


「営~業~妨~害~って言葉あなたたちは知ってるかしら~?」


 そう言った男の太い地声が二人の背筋をぞわりと震わせた。

 二人は恐る恐る視線を動かし対象物を確認。


 そこには熊もかくやな巨体と、邪悪な魔獣でさえも脱兎の如く逃げ出すようなご面相があった。


 太い眉、青く残る髭の剃り跡、頑丈そうな顎から伸びる同様の首、肩、腕、その他。

 とにかく全部がしっかりとした男性的な骨格の持ち主がそこには立っていた。

 その相手の体躯には白いパティシエ服がピッチピチに張り付いている。筋肉の形すら一目でわかるフィット具合だった。適したサイズがないのかもしれない。

 クレアもブライアンも、その白さが妙に眩しくて目に沁みた。


 二人は町唯一の焼き菓子店の真ん前で喧嘩をしていたのだ。


 相手はその店の店主。


 営業妨害のそしりは正しかった。

 だからクレアは素直に頭を下げた。


「ご、ごめんなさいケーキさん」

「反省しているならよし」


 対するブライアンは、


「わ、悪かったよおじさん――あ」


 突然の事態にうっかり地雷を踏んだ。

 この店主に男性扱いは禁忌だと知らない者はこの町にはいない。

 普段はすっかりボケているはずの老人も、極悪人でさえもきちんと口を揃えて女性扱いする。

 顔のパーツはきゅっと中央に寄っていてコンパクトなくせに、その体躯は規格外。丸太級に逞しい腕がブライアンの首に巻きついた。


「だぁれがおじさんですってえええ~?」

「っうぅ、ぐ…………」

「きゃーッブライアーン!」


 ブライアンはソッコーで白目を向いて落ちた。命の危機かもしれない。クレアは助けを求め周囲を見回してみるも、通行人は皆恐怖と困惑で凍りついているので役に立たない。


(こういう時あたしが優秀な魔法使いなら、薔薇の一つも出してケーキさんの乙女心を呼び醒まして正気に戻せるのに)


 けれどクレアは魔女の娘だが魔力が全くない。

 母親は優秀な魔女だったのでクレアにも当初は期待が寄せられたが期待外れだったというわけだ。

 クレアの魔法使いの血統は母方のもの。

 反対に父方には先祖も含め魔法使いの血は一切流れていないそうだ。

 実はこういった魔法の血と無縁の家系も珍しいのだが、それもクレアの代でそうではなくなった。


 ともあれ、必死なクレアが強く悔しがった時、天に願いが届いたかのように目の前に花束が現れた。


 バラがメインの花束は芳醇な香りをクレアの鼻腔に届けてくれる。


 いつの間にか一人の天の御使い……ではなく見るからに良家の子息と言った若者がクレアの傍に立っていた。


 さすがに夏場で暑いからか、今は上着を脱いで腕に掛けているようだがベスト着用の一般的な貴族スタイル。留め具から伸びる金の懐中時計の鎖がシャラリと揺れる。


「クレア? これは一体どうしたんだい。ブライアンより遅く出た僕の方が先に買い物を済ませてしまったみたいだね」


 彼の顔を見たクレアは奇跡ってあるんだわと感激した。

 天はブライアンを見捨てなかった。


「ニック兄様あああっ! 助けて、ブライアンが失言しちゃって……っ」


 訴えると「ああなるほど」と即座に得心した彼は、店主ケーキの方を向いた。


「ケーキさん、すまないが弟を許してやってくれないかな」

「ハッこの声……――いやーんニコラスちゃんじゃなーい。帰って来てたのねえ~っ」


 さらりとして柔らかそうな金髪に弟と同じ青色の瞳、優等生な王子様キャラを地で行き、町の婦女子たちから絶大な人気を得ている十七歳――ニコラス・ウィンストン伯爵令息がそこにいた。その鶴の一声ならぬニコラスの一声で正気に戻ったケーキは、語尾にハートマークを百個は付けた裏声を出すや、しなを作って故意か癖か体の前で両手を捩じり合わせた。

 クレアは人体の不思議を目の当たりにして顔が引き攣ったが、それでもブライアンが解放されて大きく安堵する。


「あああありがとうニック兄様!」

「ええと、そんなに感極まられると恥ずかしいよクレア」


 ちょっと困った風に照れてニコラスははにかんだ。きっとこういうところに皆がキュンと来るのだろうとクレアは思う。


「ニコラスちゃん。その花束はまさかまさかの私への贈り物だったりするのかしら?」

「ごめんね。これは違うんだ。そうだなあ、今度お店に似合うような花を見繕ってくるよ。弟が失礼を働いたみたいだしね」

「んまあっホント? でも失礼なんて全然~っホホホホ!」


 ニコラス相手に上機嫌のケーキはもうクレア達の存在など気にもしていない。解放され地面に伸びたブライアンを抱き起こした彼女は、頬を叩いて意識の回復を促した。

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