FALL

おとのり

プロローグ

 このミッションは重要だ。

 何しろ、下手をすれば今後の人生にかかわる。

 故に、誰にも見つかってはならない。

 

 まだ陽も昇らない時間、ひとつの影が町の中を慎重に進んでいく。

 精一杯目立たない恰好をして、夜の闇に紛れ、どことなく頼りなさげに、しかし、確かな決意を秘めた眼差しで駆けていく。

 これから為すことは、褒められた行為ではない。

 しかし、この物語においては、非常に重要な意味を持つことになる。

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