第8話 マダムユリデザインのドレスが最多16着販売

50

ファッションショーは終盤を迎えているが、アジアのデザイナーも価格が手ごろで150万円~200万円が主流なので、それなりに人気があるようだ。


すずも出番を控えてメイク室に入っていった。ついにラストステージのマダムユリコレクションが始まった。ミーシャのステージ衣装を全てデザインをしているとアナウンスされると、一気にヒートアップしたようである。


おまけに新作が今日だけ25パーセント引きだと再アナウンスされると、ボールペンがかなり動いている。モデルの最後が終わって一呼吸をおいてからすずとユリが出てきた。


マダムユリは犬の方ですとアナウンスされるとため息というか、みんな一様にあっけにとられたような顔をしている。にこやかにすずが手を振ってエンディングである。少し休憩してから抽選会である。

51

景品提供はどれでも好きなブランドの仕立券を3枚と、王様手作りで1億5千万円相当の明国風赤絵磁器花瓶を2点である。抽選の前にビッグニュースが飛び込んできた。


司会[ここで皆様にビッグニュースをお知らせいたします。ここにおられる明日香王国の王様がノーベル平和賞の受賞が確定いたしました。尚、王様は医学賞も最有力候補ということです。心よりお祝いを申し上げます。]大きな歓声が上がった。


司会[それでは抽選会に移ります。目の前で公明正大におこなわれますので、全く不正はありません。]無料仕立券が当たった人はどちらも大はしゃぎである。


次に王様手作りの花瓶2点である。時価1億5千万円相当なのでそれぞれの目が真剣である。一番目に当たった人は華僑か万歳を三唱している。二番目はなんと会長の娘の友人が当たった。当然に会長に娘それに本人も興奮をしている。

52

会長[高価なものを私達が当たっちゃっていいのかな。はっはっは。][どうもご参加ありがとうございました。来年もどうぞ、よろしくお願いします。]


会長たちは満足をして帰っていった。ドレスのオーダーコーナーは10ヵ所が設けられているがどこも列をなしている。大成功でパーティーは終了した。


続いて急遽にノーベル賞の受賞記者会見になった。記者[ノーベル平和賞の受賞が確定しましたが、お気持ちはいかがでしょうか。][それはうれしいですよ。賞金もいただけますしとても名誉なことです。周囲の方々にとても感謝をしています。]


記者[王族でノーベル賞の受賞は初めてだと思いますが、どのように感じていますか。][祖父が初代の王で私が2代目になりますが、産まれが益子のサラリーマン家庭でしたので、王族といわれてもあまりピンと来ないのです。]

53

[何とか恥ずかしくない王様になろうとは思っていますけどね。]記者[王様の功績で特に称賛されるのはガテマラからパナマまで6か国を統一して、治安が悪くギャングだらけで職の無い貧困地域で農業を盛んにして、すべてのギャングを受け入れたということですね。


それに子供の教育にも熱心で貧困地域では除かれている美術教育を導入したり、筆頭株主であるクルーズ船各社に子供達1千人を受け入れています。優秀な子供には看護師や医者になる道も用意してあることに、世界では驚きの目で見ています。


将来に希望がない人たちに就職の幅を広げて夢を与えたことはとても素晴らしい事です。このような素晴らしいプロジェクトを思いついたきっかけをお聞かせください。]

54

[中米の地は乾燥地域が多く農業に適さないのですが、私達はこの地域よりはるかに環境が劣悪で、砂漠化された南米の地で緑化に成功しています。]


[その経験をもとに中米でも農業で成功をする自信がありましたので、実行をしたまでです。]記者[4か国の独立支援や米国の中央銀行の国営化、それにNK国の拉致被害者の奪還などノーベル賞を3回受賞できるぐらいの功績を残しましたが、今後の予定をお聞かせ願えますでしょうか。]


[私は国王であるとともに作陶家ですので、小堀遠州さんと一緒に茶陶展を2週間ほど催す予定です。]司会[以上で記者会見を終了します。]


すず[私の着た服が16着売れて、数量トップになりました。][そりゃあすごいな。さて、引き上げるぞ。]ブランド会社を束ねる本多正芸社長がやってきた。

[どうもありがとうございました。ファッションショーは大成功でした。マダムユリは注文数が最多でした。パーティーそのものも盛り上がってよかったです。]


[1億5千万円相当の赤絵花瓶を当たった華僑のお客さんの娘さんは多数を購入されました。][それは良かったですね。正三さんによろしく言っておいてください。]



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る