第707話 奇跡の聖女(21)
――3時間後、
「グハッ――」
美少女に女装していると思えないほどの様子で血反吐を吐きながら地面に倒れる竜道寺。
体中は、デザートイーグルの一割マシの攻撃力を持つ銃弾を避ける訓練で傷だらけになっている。
そんな竜道寺に近づき、体に手を置く。
そして細胞を修復する。
「寝ている場合じゃないぞ? 起きろ」
「もう……無理……」
「大丈夫だ。俺が無理だと思わない限り無理じゃないからな」
竜道寺の腕を掴み、ナース服を道着に組み替える。
「さて――」
そう呟くと同時に、竜道寺は俺から慌てて距離を取る。
「少しは危機管理意識が生まれてきたようだな。まぁ、問題は――」
俺は空中の原子を操作――、組み替えてを行いデザートイーグルを生成すると同時に銃口を竜道寺に向けてトリガーを引く。
途端に竜道寺が奇声をあげて避ける。
「少しは殺気を読めるようになったじゃないか。中々の進歩だ」
「1000回近く死んでいますからあああああああ」
「良かったな。死ぬなんて経験、中々、積めるモノじゃないぞ?」
「ふぁああああ、死ぬ! 死ぬ!(――おかしい! この人は、おかしい!)」
必死の形相で、銃口を向けられる前から移動をする竜道寺。
もちろん感度は100倍なので、道着と密接している肌からの感覚は相当なモノのはずだ。
そんな中でも竜道寺は、避ける! 避ける! 銃弾を避ける!
「死ぬ! 死んでしまう!」
「ふむ……。銃口と俺の視線から弾道予測をしているのか。中々なモノだ。だが! その体力何時までもつかな?」
「鬼畜すぎる!」
直接、デザートイーグルのマガジンの中に銃弾を――、原子を操作し作りだしトリガーを引き続ける。
そして――、竜道寺は30秒ほど舞い続けたところで、俺の銃弾をこめかみにくらい即死する。
「まったく……」
そして再生。
「うわああああああああっ! ――はっ! また、生き返った!? もう、俺を殺してくれえええええ!」
「元気そうで何よりだ。さあ、修行の時間だ」
「もう無理です!」
竜道寺が、ダッシュで俺から離れていくが、一瞬で竜道寺の前に移動すると、竜道寺は顔を歪めて、「あああああっ」と、絶望的な表情で膝から崩れ落ちる。
「……仕方ない」
その俺の言葉に竜道寺は希望の光を見出したような表情で俺を見てくるが――、
「記憶を一回消して最初からやり直すか……。体を動かすための反射的な動作は体に染みついているはずだからな」
「悪魔がいるぅ!」
「さあ、記憶を消してゼロからスタートするのと、このまま頑張るのとどっちがいい?」「……頑張ります」
「うむ。――では一つだけアドバイスをしてやろう」
「アドバイスですか?」
「ああ。お前は避ける動作が大きすぎる。もっと最小限に動くことで体力の消耗を下げてみろ」
「そんな無茶な――」
「恐怖を感じなければいける」
「恐怖を感じるなって……」
そのあと、竜道寺の修行は朝方まで続いた。
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