第676話 葬儀(4)
竜道寺が運転する車に乗り込み、彼が運転する車が神楽坂邸前に到着したところで、俺は車から降りる。
「それでは桂木師匠、自分は、ここで待っていますので」
「――いや、必要ない。神谷へ俺が神楽坂邸に来てることだけ伝えてくれればいい。それとお前の修行については明日からスタートする」
「分かりました」
「あとは、お前は俺の直轄の部下って事にする」
「――え?」
「俺の修行は、最初は大変だと思うからな。それに並行して職務を全うするとなると、無理があるからな」
「それは……」
「神谷には、お前の所属は日本国政府、内閣府直轄特殊遊撃隊に移動するという事で俺に命じられたと言えばいい」
「……分かりました」
「うむ」
「――では、失礼します」
「ああ」
俺を乗せてきた車が走り去ったあとで、神楽坂邸へと向かう。
神楽坂邸前に、竜道寺が車を停めたと言っても、少し距離があったのは見慣れない車が何台も、屋敷の前の道路に停まっていたから。
――それにしても、停まっている車は、どれも高級車ばかりだな。
そう思考しながらも神楽坂邸の正門前に到着する。
すると、正門前で牽制しあっていた40代から70代の老若男女が一斉に俺へと視線を向けてきた。
「君! ここは、君のような子供が来る場所ではないよ!」
視線を向けてきていた男女の中で、俺へ50代前半とも言えるオールバックの男が語り掛けてきた。
「――ん?」
声をかけてきた男を一瞥した俺は、口を開く。
「子供ではないが?」
「どこからどうみても子供だろうに! その年齢だと、都お嬢様と同じくらいか? もしかしてご学友の方か? すまないが、都お嬢様は、いまは精神的に疲れている。下級国民がに声をかけられる精神状態ではない。今日は、帰ってもらえるか?」
「ふむ……」
俺は、軽く頷くと――、そのまま神楽坂邸の門に手をかける。
一瞬、俺が頷いたから俺が帰ると思っていた男は、いきなりの俺の行動に慌てふためき――、
「君は、何をしているんだ? 私の言葉が理解できなかったのか!」
そう、言いながら俺の肩を掴んできたが、俺は無理矢理、3メートルを超える鉄製の門を押して開ける。
途中でバキッ! と、言う音が聞こえてきて鍵が壊れた音が聞こえてきたが、あとで弁償すればいいだろう。
門を開けて中へと入ると、ざわめきな声が次々と聞こえてくるが、邸宅内に足を踏み入れても俺のことを追って来ようという人間はいない。
どうやら、敷地内に足を踏み入れる真似はできないようだ。
理由は知らんが。
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