第16話「ストーブと少女」

 冬、



 体育館はとても寒い。


 たいして動かない卓球少女はなおのこと寒い。


 ストーブは暖かい。


 教室は暖かい。


 頭が「ボー」とするほど。



「百合、りんごジュース買ってきた」

 瑠璃、自動販売機まで走った。


「紙パックのやつ~?」

 百合、少し甘えた声、机に顔をつけ少しひんやり。


「百合、やっぱり保健室に行こう」

 瑠璃、百合のオデコに手をやる。


「うん……」

 百合、熱いのはストーブのせいじゃない。



 瑠璃は百合を一人にしない。


 百合も瑠璃を一人にしない。


 今日は二人で保健室。


 何よりも大切なこと。



 それは元気。

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