自分が分からない人
@sei0000
第1話 幼い記憶
僕は東京で産まれたらしい。
物心ついた頃には埼玉にいて僕は幼稚園児だった。
僕を一言で言うなら「異質」だったと思う。
親がヤンチャで僕の頭を金髪に染めていたからだ。
何故か僕も母も怒られたり咎められたりした記憶は無くただ周りとは少し違う自覚はあった。
頭の色に比例してか僕はその時点で「一般的」では無かったかの様に思う。
例えば先生の事を真剣に好きになったり、スーパーで友達と万引きをしたり、気に食わない奴とは喧嘩をした。
もしかするとこの程度は「良くある話」かもなのでサラッと終えておく。
小学校時代は片親で貧しいのもあったり意味も分からず引っ越しを繰り返されて転校ばかりだったのもあり僕はどんどん自閉的になった。
友達が出来ても1年後には引越し。
貧しいから毎日同じ服、面倒だからって風呂に入らなくても、歯を磨かなくても怒られない。
普通の人と違う自分に自信が無くなっていく。
小学生の僕が全てを諦めるには簡単だった。
親はバカだが最低限食わせて貰った恩はある、恨んではないが僕は母の事を哀れだと感じていた。
小学生時代から物事を達観して、誰も寄せ付けなかった。
とにかく僕は貧しくて他は恵まれてると「決めつけていた」
片親と言ったが僕にはお父さん(?)がいた。
全身和彫の刺青、いわゆるヤーサンだ。
僕の産みの種の父親は産まれる前に離婚したらしいのでここで出てくる親父は弟の親父だ。
とにかく暴力の権化といった親父は母、僕、弟をボコボコにした。
僕は親父に殴られたせいで右耳が全く聞こえない。
母は泣いていたがその頃には僕は感情が無く何も感じなかった。
小学5年生のある日、不感症で本ばかり読む僕を気に食わないいじめっ子がターゲットにして来た。
普段から最強の暴力に触れている僕は同級生に殴られても何も感じず、痛みも無かった。
だが身体には新しい生傷が出来て帰ってくる僕を見て親父が睨みつけて来た。
「イジメか?喧嘩で負けたんか?」
僕は声を発さず頷いた、その時点で殴られる覚悟は出来ていた。
「お前のう、舐められたら終いなんじゃ、来い」
僕はtシャツの襟を掴まれ引きずられた。
泣いて静止する母を振り切り僕は、車に放り込まれた。
「どこやソイツ」
「えっ、、、」
「どこやゆうとんじゃソイツわァぁ!!!」
僕は恐怖ですくみ上がり必死に道案内をした。
いじめっ子の家にたどり着いた僕は頭の中がぐちゃぐちゃだった。
いじめっ子が殺される、僕は殺人犯の息子になるんだ人生終わったんだ何で母はこんな奴と結婚したんだ何で僕はここにいるんだいじめっ子を逃さなきゃそしたら僕が殺される僕は僕は僕は
小学生の僕は完全にパニックだったと思う。
そこで親父はタバコに火を付け言い放つ。
「ガキの喧嘩はテメエで解決しろ、今すぐやり返せ、勝てるまで戻って来んな。」
そう言ってトランクから大量の武器を僕に押しつけて来た。
僕は何も受け取らずにフラフラといじめっ子の家のインターホンを押した。
車の窓から親父が様子を見ている。
白い煙がスーーっと上に伸びていたのを鮮明に覚えている。
出てきたいじめっ子に僕は言った。
「喧嘩しよう?」
僕は何かから解放されたのか満面の笑顔だったらしい。
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