☀️

よしの

第1話

もうこの世の中に自分の居場所なんかないのかもしれない…。


以前からやりたかったビーガンカフェ。

オープニングのお店だった。

オペレーションが良くわかってないのか、人員も資材もろくに揃わず開店。

事前に問題がある事をリストにして話し合ったが

上手くやってくれと押し切られ、やはりクレームになってしまった。


「 もう少し出来る人だと思った。あなたの行動に困ってるんだよ」


社長から言われ、クレームの内容を繰り返し聞かれた。

次からはこうしようという話ではなくただの尋問だ。

居たたまれなくなり、退職した。

数週間休みはなく、休憩もなく12~3時間働いた日もあった。

すっきりした気分ではいたが、もう何をしたらいいのかわからなくなっていた。


以前働いていた店はコロナ禍で利用者が減り閉店。

影響を受けなさそうな仕事もしてみたが、内容より兎に角、速さ重視で合わずに辞めてしまっていた。

求人には若手活躍や即戦力、経験者という言葉が並んでいた。未経験の求人もあるが暮らせていける給料でブラックでない所なんかあるのだろうか。

そんな事を考えながら帰宅。

何かを作る気分にはなれず、食べたいのかもわからなかった。

とりあえず焼酎ロックにレモンを入れて飲んでみた。


「染みる~」


引き出しを開けると赤いきつねがあった。

以前ストックしていたモノだった。

つまみにはならないけど…。


「これでいっか」


お湯を入れて数分、油揚げをひと口。じゅわっとお出汁と甘さが広がり、焼酎を飲む。


「つまみでいける!」


お汁を飲んでほっこり。

続いて麺をひと口。

まだ少し堅かったけど、これはこれでいける!

やっぱりお腹すいてたんだなと実感。

焼酎と赤いきつねを交互に食べすすめぽかぽかに。


そういえばコレってまぁまぁビーガンだよね。

生まれる前からあるのに。

色んなカップ麺が消えていく中、残っている。

何故赤い…情熱?

そして食べた人をほっこりぽかぽかにする。

だから、続いている。

あなたの様になれるかな?

情熱をもって周りのヒトをほっこりぽかぽかに。

騒がしい周りではなく、自分の中に器ほどの静かな居場所をつくって…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

☀️ よしの @akkyk0507

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る