真夜中の考え事。

寒川ことは

真夜中の考え事。

 明けない夜はないと、誰かが笑った。

 けれど夜明けまでは長いと、別の誰かが囁いた。

 そして、夜明けはそれを望む者の前にしか現れないと、また別の誰かが静かに嘆いた。


 深夜2時、私はベッドに仰向けになって、真っ暗な天井を見つめる。

 生きるとか死ぬとかそういうことを、明日の朝ごはんと同じくらい真剣に考えてしまう時間。

 私が私でなくなりそうな時間。

 夜の底。

 表面張力でギリギリ形を保っていた私のアイデンティティが、涙と共に頬を伝った。


 どうしてこんなことになってしまったのだろう?

 うまく笑うことができなかった。

 すぐに怒ることができなかった。

 ともに喜ぶことができなかった。

 そして、悲しみに沈む自分を許すことすら、できなくなってしまっていた。

 警戒心が邪魔をした。

 羞恥心が邪魔をした。

 嫉妬心が邪魔をした。

 そして、自尊心が砕け散った私を待っていたのはひどい孤独、それだけだった。


 寝返りを打つとベットが小さく軋んだ。

 夜の私は空っぽで、ただ毛布を握りしめて夜明けを待つことしかできなかった。(あるいは夜明けなんて、もうどうでも良くなっていたのかも知れないけれど。)

 それでも、窓から差し込む月明かりだけは、私を優しく照らしてくれているような気がして、暗闇の中、そっと意識を手放した。

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真夜中の考え事。 寒川ことは @kotonoha333

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