Please respond...。

Please respond...。

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。

　他に人類はいませんか？この惑星に希望はありませんか？

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。

　私はもうひとりぼっちになったのですか？

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。

　滅びたはずの文明の片隅から、微弱な電波が届いた。

　スピーカーから流れる音は、砂嵐に掻き消されて発信者の彼(もしくは彼女？)の名前を告げることはなかった。

　私は発信者の声を聞きながら、ぬるくなったコーヒーを啜る。

　彼は滅びた文明で何者であったのだろうか？それとも今でもまだ、何者かであり続けているのだろうか？

　孤独な彼を形作るのは一体何なのだろう？絶望、それとも？

　孤独な彼を生かしているのは一体何なのだろう？欲望、それとも？

　コーヒーを飲み終えた私は、彼の言葉に答えることなく想像する。

　希望を失ってもなお、彼が生き続けているのだとしたら、行き着く先はきっと私と同じだろう。

　或いはもしかすると、本当は私が発信者だったのかもしれない。

　栄えたはずの文明の片隅から、微弱な電波が届いた。

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。

　ここには人がたくさんいますが、希望は一つもありません。

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。

　私もあなたと同じひとりぼっちです。だから大丈夫、あなたはひとりじゃない。

　こちらーー応答せよ。こちらーー応答せよ。