俺は訳ありな妹と共に世界を並行移動する
れいぴあ
プロローグ
第4霊界ウリエル 亜渡御(あどみ)神社
「ようやく先生の念願が叶いますね!」
「ねんがんの ちょうさけんを てにいれたぞ!」
「・・・・先生?」
「んん、何でもない。ずっと身近に在ったのに、我が父は調べる事を良しと
しなかった。宮司の代替わりまで長き時を待たねばならなかった、、、」
「先生が宮司になられてからの調査申請提出、早かったですねぇ(笑)
その日のうちに出してましたよね? 許可が出てからの調査開始までも
早い早い。」
「じゅんびするじかん いっぱいあったからね じかん! ほんといっぱい!!」
「・・・・先生?」
神社の参道を興奮気味に話しながら歩く二人。向かっているのは御神体のある
場所だ。
「何代目になるのですか?」
「147代目になるらしい。それだけの長い時間、この神社一帯は不思議な力に
守られてきた。私は、子供の頃からそれを見てきたのだよ、、、」
亜渡御神社の宮司を務めるタカシ・ミツルギは、遺物研究者でもあった。
亜渡御神社一帯は、不思議なほど災害とは無縁の土地だった。
災害が迫ると、何か分からない暖かな雰囲気が御神体から漂う。
父や家族は感じないらしいが、タカシは確かに感じていたのだ。
それが何なのか?ずっと確かめたかった!
「これがこの神社の御神体、【女神岩】だよ。」
ゴクッ、ヒジリ・クロスは唾を飲み込んだ。御神体から放たれる何とも言い難い
雰囲気に気圧される。所々苔むし、長き年月に晒された岩肌から荘厳な雰囲気が漂う。
「た、たしかに不思議な雰囲気が漂ってますね、、、この、苔むした所なんか
長い年月を経ているのが分かります、、」
「・・・それ、ダミーのガワだよ?」
「へ??」
何やら、御神体の周りの地面を弄っていたタカシが言い放つ。
年寄りくさい掛け声とともにそのガワが外されると、真っ白な、不自然な程に
丸い球体があらわれた。
「!??!!???」
呆然とするヒジリをよそに、タカシは調査の為の機材を設置していく。
「ほらほら、クロス君、ぼうっとしてないで、準備準備! 二人でやるしか
ないんだから、さぼってないでさっさと働いて!」
言いたい事・聞きたい事が一杯あるヒジリだったが、まずは言われた通りに準備を
進めていく。小一時間ほどで機材の設置が終わった。
「さて、まずはこの御神体が何から出来ているか調べる事にしよう。
解析作業開始だ!」
心なしか、まだ呆けている状態ではあっても、ヒジリは言われた通りに
解析作業を始める。御神体に向けてエネルギー波を照射していく。
「先生、、、これは自然物なのでしょうか、、、?」
「どう見てもそうは見えないよねぇ、、、 あまりにも不自然なので、
何代か前の宮司の時代に、あの『ガワ』が作られたらしい。」
苦笑しながらタカシは続ける。
「代々伝わっている古文書には、昔からそうだった様に書かれているね。
これを見たら知りたくなるだろう?? これは何なのかと!」
「はい、、先生がずっと仰っていた訳が分かりました。これを見てしまったら
そう思わずにはいられm あれ?」
「ん、どうした?」
「先生、何の反応も無いんです。観測データに何の反応も出てきません。
もしかして、機材の故障でしょうか??」
「いや、そんなはずはないぞ。御神体の横に置いてある照射強度計にきっちり数字が
出ているぞ? 観測器も開始前にデータが取れる事を確認したじゃないか。」
「そ、そうですよね、、、。 照射強度を変えて観測を続けます。」
「そうだな、データを見ながら反応が出るまで照射強度を上げていってくれ。」
データを見ながら、少しずつ照射強度を上げていくが全く反応が無い。
うそだろと思いながらも上げ続ける、、、こんなもの、人体に直接浴びたら
ただでは済まないどころか、消し炭になりそうだ。
ブゥン
突然何かを感じた。
全身を正面から何かが突き抜けたような感覚だった。
「え!?」
御神体が光っていた。しかし、観測器には何の反応も無い!
タカシがよろよろと御神体に近づいていく、、、、
「ちょっ!!!」
ヒジリは慌ててエネルギー照射を止めると、御神体に近づくタカシを止めよう
とした。それでも構わず手を伸ばすタカシ。タカシの手が御神体に触れた。
何処からともなくタカシに声が届く、、、
『カンリシャケンゲン ガ アリマセン。カンリシャメニュー ニ アクセス
デキマセン。』
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