君だけは守りたくなる 〜風魔という力〜

@reikenjyou

第1話 戦い抜いた未来

「ねえ、行ってみない?」

「でも、危ないよ。何も訓練すらしてないのに…。」

「大丈夫、私が”ハク”を守るから。」



小さな町に住んでいた私たちのところに一通の手紙が届いた。お父さんがいつも通り手紙を開けようとしていると、バタンッと勢いよくドアが開いた。

「しぃーちゃーん♡あっそっぼーー‼︎」

「あっ‼︎ はくだー!」

向かい側に住んでいる幼なじみの剣城 琥珀

(つるぎ こはく)はいつも朝早くから遊びに来る。毎日一緒に朝から晩まで遊んで、そのまま家に泊まることもよくある。

「しぃちゃん、今日は鬼ごっこしよう。

僕が鬼でね、しぃちゃんをすっごく速く捕まえることできるの」

女の子にもよく間違えられる琥珀は今日も眩しい笑顔でそう言った。しぃちゃんとは、

私、詩乃(しの)のことだ。

2人で話していると、ふいにお父さんが呟いた。

「今日だったのか〜。今年は怪我人が出ないといいな…」

耳の良いハクはたまたまそれを聞いたみたいで、「おじさん、なんの話〜?」っと興味もあまりないのに聞いていた。

その手紙は、毎年行われている”王側近守護人決定戦”の知らせだった。自由参加で年齢制限はなく、途中退場してもいい。そんな緩い感じで参加者も多いが、命の保証も何もなく、訓練された人ですら死傷者が絶えない。幼い

子なんてもってのほかだ。その割に、一向に決まらなく、10年近く続いていた。

「私も一度緩い気持ちで行ってみたが、それはもうひどい怪我をしたよ。」

お父さんの言葉に、みんなが暗い顔をしている中、詩乃だけは違った。

「…私、行ってみたい‼︎強くなってお父さんみたいなかっこいい騎士になりたい。」

その言葉に、一番最初に反対したのはハクだった。

「ダメッ‼︎しぃちゃん危ないよ!それにしぃちゃん女の子だよ?死んじゃうの嫌だ‼︎」

ハクは大きな声をあげて詩乃に言った。

でも、詩乃が一度決めれば諦めないことは

家族も琥珀もわかっていた。

驚いていたお父さんは静かに言った。

「…詩乃、まだ詩乃は10歳だ。お父さんにとって詩乃は1人だけの娘だ。だから、心配だ。それでも詩乃の気持ちは変わらないのか?」

お父さんに心配をかけたいわけじゃない。だから、詩乃はお父さんの目を真っ直ぐに見て言った。

「私は死なない!約束出来る!お父さんに心配をかけないくらい強くなりたい。」

その強い思いは誰にも曲げられなかった。

「…じゃあ、僕も行く。しぃちゃん守る。

僕はしぃちゃんのこと大好きだから。」

そう言った琥珀は今までにない真剣な眼差しで詩乃に行った。

 2人で出場することになり、お父さんとお母さんに綺麗な赤いお守りをもらった。

「行ってくるね。だから、美味しいご飯作って待っててね♪」

もう誰も反対はしなく、笑って頷いてくれた。

 大会が始まるギリギリまで2人で話していた時にハクが言った。

「僕がしぃちゃんを守るから。絶対に僕を放っては死なせないから。」




大会の合図が鳴り、皆が倒すべき相手に向かった。琥珀と詩乃はその相手に鋭い目を向けて立っていた。


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第2話

みんなが立ち向かう中、詩乃は倒れてゆく人たちを見て怒りを抑えられなくなる。誰もが見たことのない力…。そんな詩乃を見た琥珀は行動に出るが…。

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