第5話 高校三年生になれば始業式の日から、こんな厄災も降りかかる事も (4)

 俺と去年同じクラスだった奴がケラケラと笑いながら、自分の彼女の存在に気がつかないのは、流石に不味いと諫めてきたので。


「そ、そうだな……。お前の言う通りで……。彼女がはるか遠くにいるならわかるけれどさ。お前の言う通り直ぐ近くにいることの気がつかない俺は本当に悪い彼氏だな……。あっ、はははははは……。参った、参った……」


 彼女に気がつかないと言うか? アイツ、沙紀の奴が、春休み前とは違い、余りに大人しいと言うか?


 俺がアイツを少し離れた場所から見て確認しても沙紀の奴が余りにも大人し過ぎるのだ。


 だって春休み前のアイツならば俺の声が! 笑い声が! 自分の耳へと聞こえれば慌てて俺の傍へと寄ってきて甘える……。


 そう、この第二高等学校のイケメン四天王の一人……。こと、俺は自分の物だと主張して甘えてくる沙紀の奴が余りにも大人しい……。


 もうそれこそ、アイツは、何かを見て呆然としながら落胆……。肩を落としているように、彼氏の俺の瞳には映るから。


 また今年もアイツ……。沙紀とは同じクラスになれなかったみたいだな……。これで三年間全滅だな……。


 まあ、これは、これで致し方がない……。こう言った高校生活もあるよな……と、俺は思うと。自分の瞳が少し潤み、センチメンタルな気分に陥るけれど。


 俺の周りには仲のよい同級生達が多々いるから潤んだ瞳……。目の涙腺を俺はギュッ! と絞めれば。


「俺、アイツ……。沙紀のところにいってくるわ……。じゃ、なぁ~」


 俺は自分の周りにいる奴等に微笑みながら手を振り、後にして、呆然としながら佇んでクラス表を見ている彼女さまの許へと慌てて歩み寄っていった。




 ◇◇◇



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