第454話 それ、無理でしょう? (5)

「うん、確かに」

「そうね……」

「美佐ちゃんは何も言わなかったよね……」


 俺の近くにいる篠田と加奈、幸の奴が考える人になり呟けば。


「そうだろう、三人共」と牧田も同意を求めるから。


「「「うん」」」


 篠田、加奈、幸は仲良く声を揃え頷いた。


「……じゃ先生は俺達に怒っていないのならば、一体何が言いたかったの?」


 俺は体育の先生が、幸とのキスで憤怒していないのならば、あの物言いは何だったのだろうか? と疑問……。謎に思うから首を傾げ尋ねた。


「……ん? ああ、あれはね。山田と山中の二人が妙に盛り上がって、体育祭で澤田を賭けてリレーもしくは徒競走で勝負をするのだと鼻息荒く、皆に告げているけれど。選手リレーや徒競走の順番は君達生徒が決めるものではなくて。私達教師が決めるものだから。山田と山中が澤田をかけて勝負をするのは極めて難しいと思う? 特に山田と山中は同じ紅組でチームメイトにもなるしなぁ」と。


 体育の先生は俺達生徒達にできるだけ聞こえるように大きな声……。体育会系らしい凛としたはっきりとした口調で、俺達生徒へと説明をしてくれた。



「あっ! そう言えば」

「確かに」


俺と牧田が驚いた顔で声を漏らせば。


「ああ、何だ詰まらない」


幸の奴が大変に残念、無念の声を上げる。



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