第287話 久し振りにあいつに叩かれたから終焉(2)

 俺は更に絵美へとガル、ルルル! と呻りつつ、食ってかかると。


 バチン! だ。


 またバチン! とね。


 俺の頬を平然と殴る奴がいるから。


「加奈ー! 何しょぉんならぁ! 痛いじゃろぅがぁ!」と。


 俺は絵美から加奈へと視線を変え、憤怒しながら荒々しく不満を放てば。


「絵美さんの言う通りで和也が悪い……。牧田君らが謝罪を告げた所で、彼等を解放するべき……。これだと本職の人達と変わらない」と。


 俺に対して怒っているのか? いないのか? よくわからないし。


 俺が加奈に怒声を吐き、本人は怖がっているのか? いないのか?


 やはりわかりにくい加奈の奴も絵美の意見に賛成だと告げると。


「山本? 大田?」


「ん? 何?」


「どうしたの、牧田?」


 牧田に声をかけられた二人は、自身の首を傾げつつ、言葉を返した。


「あのなぁ、二人共……。山田がのぅ、俺達の地元のヤンキーの奴等をしちょぉるらしいけぇ。そこに今から連れていくか? 怖い先輩の所へと無理矢理連れて行こうとするんじゃけぇ、何とかしてくれやぁ。頼むけぇ、二人共……」と。


 牧田は今にも泣きそうな顔で加奈と蘭へと嘆願をすれば。


 今度は翔子と幸へと視線を変え。


「なぁ、翔子も幸も何とか言ってくれやぁ、山田に……。こないだまで、一緒にカラオケとか行って、歌っていた仲じゃんかぁ、俺等……」と、泣き言を言いつつ、嘆願をする。


「えぇ~、うちや幸に言ぅても知らんし、あんた等が沙紀や和也にちょっかいをかけるけぇ、じゃろうにね……。ねぇ、幸?」


「うん、私も翔子の言ぅ通りで知らんけぇ」


 牧田が自身の瞳を潤ませながら二人へと嘆願をするのだが。


 翔子と幸の二人は、牧田に対して呆れ返っているからこの通り。


 だから牧田は最後の頼みである、沙紀へと視線を変え。


「新宮寺、お願いじゃけぇ」と。


 あいつは、自身の両手を合わせ嘆願を始めだすのだった。



 ◇◇◇


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