鬼の焦燥
もう少し。
もう少し。
もう少し。
あなたはそう言った。私はいつでも大丈夫。あなたがやれと言えばすぐにでも行動を起こす。恐れなどない。もう私はずっと長く私でいる事を捨てている。私を動かす事が出来るのは、もはやあなただけだ。
でも、いつになったら、そのもう少しは始まるの?
前のお願いが終わってから日が空いている。何かあったのだろうか。
嫌。そんなの。もしあなたの身にまた何かあったのなら、私はもう耐えられない。
――会いたい。
おこがましい願いだ。そんな事を願っていい資格など私には全くない。許される事などない。そう思って生きてきた。
でも今あなたはこうやって私の事を頼ってくれている。だから期待してしまう。ささやかな願いが叶うのではないかと。
もし会えたら私はあなたに何と言うべきだろう。ごめんなさい。謝っても仕方がない。何も変わらない。
ありがとう。それはあまりにも自己中か。こうやって頼ってくれている事への感謝を伝えても、あなたはそんな言葉を聞きたくないかもしれない。
でも、もし会えるのなら、早く会いたい。
『あと一人だから』
あなたは一つ前の手紙でそう言った。
終わりは近い。早く、終わらせましょう。
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