幼馴染の恋人が親友と異世界転生して、寝る前に語りかけてくる。ねえ、ゆかり?その音はなんの音?

パタパタ

第1話幼馴染の恋人が異世界転生した!親友と一緒に

『あきら! 聞こえてる? 私とヤマトは異世界転生したのよ!』


「ゆかり、ゆかりなのか!? 1ヶ月前にトラック事故で亡くなった僕の幼馴染の恋人のゆかりなのか!?」


『そうだよ。ああ、やっと繋がった。私たち異世界に転生してどうにか生きているんだ。ようやくスキル交信というものを覚えたから、早速、恋人だったあきらに繋いでみたの。ふふふ、ようやく……繋がっちゃった』


「恋人だったじゃないよ、今も僕らは恋人なんだよ?」


『ああ、そうだね……んっつ』


「ゆかり?」


『ああ……うぅん、ナンデモ、ないよ? 私たち繋がってるの』


「ああ、そうだよ……、僕たち、繋がっているんだ……」


『あきら。あきら、泣いてるの?』


「……うん、うん、こんな嬉しいことはない」


『あきら、いま部屋にいるの? 私たちが……んっ、愛をささやいたあの部屋のベッドの上?』


「そうだよ。愛をささやいて口付けをしたあの部屋だよ。僕たちは最期まで清い身体のままだったね」


『そうだったね……あっ!?』


「ゆかり!? どうしたんだ! 何があった!?」


『んっ、なんでもないわ。ヤマトが脅かすから……』


「ヤマトもそこにいるのか? ヤマトにも親友だったのになにもしてやれなかった……僕は……」


『イイんだよ、いまゆかりとこうして話してくれているだけで俺は幸せだ。……だって』


「ヤマトとは話せないのかい?」


『……んっつ、そうね。交信は2人の心と身体が1つにならないと使えないの。だからヤマトはそれに、んっつ、集中してくれているから』


「そうか……ヤマト。僕らのために……」


『違うわ……、私たちのためだ、よ? ……ああっ!?』


「ゆかり!? 大丈夫か、ゆかり! あと最初から聞こえるパチュパチュという音はなんだい!?」


『気に、したダメ……。決してアレでアレな音じゃないから。ないかラァァアアアアアアアアアアアッツ!!!』


「ゆかりィイイイイイ!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る