赤い糸

蓬莱蒼璃

運命の赤い糸。

やがて結ばれる男女が運命の赤い糸で結ばれている。らしい。

そんなバカバカしい話、誰が信じるって言うんだ。


放課後の屋上で、読書をするのが私の癒し時間。


「好きです。付き合って下さい」


今日もまたこの学校の王子様は告白されている。


「ごめん。俺、他に好きな子がいるんだ」


そう聞くと、女は泣きながら去って行った。


「相変わらず、モテるねー」

「またそこに居たの?いい加減、俺と付き合ってくれる気になった?」


そう王子様の好きな人は、私らしい......。


「私は恋愛に興味無い。彼氏も作る気ない。彼女欲しけりゃ、他の女の所にいくんだね」


私は恋愛することはできない。恋愛する資格がない。


「俺は君じゃなきゃ、嫌なんだよねー。まぁ、これからもアピールするよ」


こんな私のどこがいいんだか。

良いところなんて、何一つないのに。


「勝手にすれば」


突き放しても突き放しても。

私の後ろを歩いてくる。

なんだか、可愛く思えてくる。

だけど、貴方のことを好きになっちゃいけない。

私は恋愛しちゃダメなんだ。

だって......。


×月×日


いつも通りの毎日。いつも通りの下校。

だけど、突然襲ってきた恐怖。

それは長いようで、一瞬だった。

私は誰かに突き飛ばされた。

その人は......。

私を庇って、亡くなった。

私はその人が誰かを知りたくて。

いつの間にか、過去に来ていた。


私はその人を守りたい。

もう少ししたら、例の時間がやってくる。

私は私の役目を果たしたい。


「じゃあ、私は帰るよ」


いつも通りの毎日。いつも通りの下校。

だけど、突然襲ってきた恐怖。

いつも以上に長く感じた。

私を押そうとする手を押し返した。

私を助けてくれたのは君だったんだね。


「ありがとう」


王子様......。

私の好きな、ひと......。

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赤い糸 蓬莱蒼璃 @SouriHourai

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