第18話 妨害
順調だった旅も終わりを告げる。ハイフレストの街の手前で馬車が襲われたからだ。
「にゃぅ」
ファイアーボールが3弾こっちに向かって来る
「魔法攻撃か?盗賊では無いかもしれんな」
「マジックシールド!」
シンシアが軽く防いでくれる。
「シンは余裕じゃな」
「皆は頼もしいですからね。話を聞きたいから1人ぐらいは生かしておいてね」
「「「解りました」」」 「にゃ」
やって来たのは仮面を付けている連中だ。先手をとったのはミイ、ウインドブレイドで4人の首が飛んだ。
リサとレナの間合いに入った奴らは悪夢と振動のスキル攻撃を受け、パタパタと崩れ落ちていく。
シンシアはスリープを使って残りを黙らせた。あっという間の出来事だ。
「な、なるほど。頼もしいな」
「でしょ!」
眠りこけている1人を時空間に連れて行く。リサ達に拷問している所は見せたくないからな。
手足に時空間を取り付け空中に大の字にして浮かせ、股間を火で炙ると眼を覚ました。
「誰に頼まれた?」
「言うわけがないだろ」
俺は無言で右手の時空間を閉じる。男の右手は時空間と共に消え、だらりと下がった腕から血が吹き出る。
「ぐわっ!」
「次は左足首だ、どうする?」
「……」
「対して強くはないが、教育は行き届いているか」
これは、死んでも喋らないな。一旦、拷問は諦め外に出しシンシアに男の止血してもらう。リサの悪夢なら白状するかな?
「神父様を狙った気がするんですが?」
「私をか?」
「はい、心辺りは有りますか?」
「ふ~む、私を王都に行かせたくないとすれば、あれか。8枚の銅板の話を憶えているかい?」
「ええ、ミスリルの棺に入っていたやつ」
「うむ、それが魔法国家セレブレイでも発見されてな、それで呼ばれたのだ」
「神父様は何を?」
「そこまでは手紙には書かれていなかった」
「そうですか」
襲って来た連中はハイフレストのギルドに引き渡し王都へ急ぐ事にした。
しかし王都の手前でまた襲われる事になる。
「神父様どうしても行かせたくないらしい」
ミイの遠距離からの魔法攻撃は魔法シールドらしき物に防がれてしまった。敵も情報を集めたようだな。今度はレベルも高そうな奴らに見える。
「にゃにゃにゃ」
「ライを呼んで良いぞ」
「にゃ」
「ぐわぅ」
「皆、前に来た奴らより腕が立ちそうだ。油断するな」
「「「はい」」」
仮面の男達は迂闊に飛び込んで来ない。魔道具を使って魔法攻撃をしつつ馬車を狙う隙を伺っている。
「面倒だな」
神父様の乗っている馬車ごと時空間に入れてしまえ。奴らの視界から馬車は一瞬で消えた。
「何だと!」
「隙ありだぜ」
時空間の台座に乗り、一気に距離を縮め半分の人数を時空間の落とし穴に落とす。
「バカな!」
仲間が目の前で忽然と消えるのだ。最早、連携などとれはしない。後はリサ、レナ、シンシアが魔法で狙い撃ちだ。ライの出番は全く無かった。
「がうぁ」
「そうガッカリするな、2人にコジュケイ鳥のもも肉はちゃんとあげるよ」
「にゃ~」「がうがう」
しかし何者だろう?神父様に行かれて何が困る?
襲われてから2日後の朝に王都プテオに着いた。
「いやぁ、こんなに楽で快適な旅は初めてだ。お陰で太ってしまったようだ」
「いつ大聖堂に?」
「明日行くとしよう」
「暫くは王都に居ることになるのでしょう?」
「多分そうなるだろう」
「身辺の警護はきちんとして下さい」
「そうだな、そうしよう」
「俺達も明日出発するか」
「何を言っている。シン達も大聖堂に行ってもらうぞ」
「ええ、何で?」
「シスターの命令でな」
「まぁ、ここまで来て顔を出さない訳には行かないか」
「そう言う事」
ーー
「シン様、大聖堂には何を着て行けば良いのでしょう?」
流石は貴族のお嬢様だ、良く気が付く。
「よし、皆の服を買いにでも行くか」
「「「やった~!」」」
ーーーー
「シスター・テレサにお会いしたい」
「どちら様で……ブラウン司教様!」
「久しいな、シスター・マリー」
「はい、あれからどのくらい経つのでしょう……あっ、失礼致しました。皆様、こちらへどうぞ」
えっ、え~、神父様って司教だったの?
「こちらでお待ち下さい」
通されたのは、いつもと違い奥まった所にある部屋だった。
やがて扉が開き入って来たのはシスター・テレサと凄く偉そうな人だった。
「ブラウン司教、会いたかったですよ」
「大司教様、御無沙汰しております」
大司教とは、また偉いのが出て来たな。
「貴方達ですね、不浄の門の事で動いて下さっているのは、助かります」
「は、はい、頑張ります」
「それで、私を呼んだ理由は何でしょうか?」
「実は、例の銅板を調べている内に偶然判った事があってね、ウルム村で発見された物は今まで調べても何も判らなかったが、セレブレイの銅板と重ねて光が当たると反射して壁に文字が映ったのです」
「文字……まさか古代文字?」
「ご明察」
「それを解読しろと言う事ですか」
「そうです。ブラウン司教が古代文字の第一人者なのは間違いないので、田舎に引っ込んでいたいと言う我が儘はダメですよ」
「解りました」
「それと、皆の意見は不思議と一致している。不浄の門について書かれているのでは?とね」
「なるほど」
「細かい事はシスター・テレサとお願いします」
大司教が退出するとシスターが待ってましたとばかりに声をかけてきた。
「シン、リサさんレナさんの他に可愛い女の子がもう1人、今度こそ結婚したのね?」
「ち、違いますよ」
「焦れったいわね」
「シンシアと申します」
「こちらこそ、リサさんレナさんシンシアさん、シンを宜しくね」
「「「はい」」」
「あ~もう、そんな事より道中は神父様……っと司教様か」
「シン、今までのままで良い」
「はい。道中、神父様を狙って何者かに襲われたんです。心辺りはありませんか」
「何ですって!……調べてみましょう」
「神父をお願いします」
「シンはどこへ?」
「お話しする方法が見つかったので、今一度キクリア様の神殿遺跡へ行こうと思います」
「解りました。神父様の事は任せなさい」
これで神父様の安全も確保出来たし、安心してキクリア様の神殿に行ける。
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