第3話 洗脳

「喰らえ、文字通りな」


ホソが翳(かざ)した掌から、燃え盛る黒炎が放たれる。


「グルルォォォ……!!」


口腔に黒炎を撃ち込まれたハニーは暫くの間悶えた後、口から煙を吹きながら苦痛の果てに絶命した。


「あ、あぁ……あぁあ…!!」


BOKISIKOは身内の死を目の当たりにして、発狂してしまった。


悲痛な声が宮殿に木霊する。

それは長い年月を共にした、いわば家族に等しい生命を失った哀しみを、ホソを含めた世界に訴えていた。


突如として現れた理不尽、゙罪骨頂゙。


その男への憎悪が、恐怖が、絶望が、BOKISIKOの精神を蝕み尽くした。


「安らかに狂え……本能のままに」


ホソが跪くBOKISIKOの頭に手を当てると、BOKISIKOからは正気の気配が消え去った。


宮殿に残されたのは、無残な獣の死体と、虚ろな目のBOKISIKO、


──そして嘲笑を顔に貼り付けた、一人の狂王だけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る