終活
今回の使用単語
「はらえる。なんかん。できる」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人はいつか死ぬ。でも、いつ死ぬかまでは分からない。
たしかに、その通りだ。仮に自ら命を絶とうとしても、断ち切れないことだって有り得る。何が起こるか分からない、それが人生。そんなこと、言われなくても分かっている。
それはあくまで生物学的な意味での話。息を止め心臓の鼓動が止まる瞬間は分からないだろう。では、社会的な死なら? ある日突然心当たりもないまま尊厳を根こそぎ奪われてしまうようなことがない限り、ある程度覚悟はできるんじゃないだろうか。――僕は、できている。
父から最後通告を受けた。十八の誕生日までにとある妖を祓えなければ、一人前とは認めない。そう言われた。僕の家は退魔師の家系で、僕はそこの一人息子。生まれた瞬間から将来が決定している。そして、その決められた役目を果たせないとなれば用無しなのだ。
誕生日まではまだ一ヶ月程ある。それでも既に諦めている理由。簡単な話、僕にはできないからだ。順当に行けば一人前と認められる年齢近くまで生きてきたわけだ、できることとできないことの分別くらい自分で付けられる。父が命じた指令は難関中の難関で、今まで一族の誰も成し得なかった。そんなことを出来損ないの烙印を押された僕にできるはずがない。まさか祓えるなんてきっと誰も思ってないのだろう。
ならば、僕は誕生日と同時に社会的な命日を迎えることになる。僕の存在意義は生まれた日に消え去る。それならいっそ、命の灯火も消してしまおうか。それまでに心残りは全てなくしておきたい。……彼を巻き込むのは気が乗らないけれど。
最期に想いを伝えることを、君は赦してくれるかい?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
新潟県新発田市付近だそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます