第23話 調査の旅へ

 「銀月のパワー、ユウシャシルバー♪」

 シルバーが両腕を頭上に上げて三日月を形作るポーズで構える。

 「何~っ! また、勇者が増えただと~っ!」

 魔王軍のアナグマの怪人が驚く。

 「私達のピクニックを邪魔させませんよ!」

 シルバーがビシッと敵を指さす。

 「いや、ピクニックは後だからな!」

 レッドがシルバーにツッコみを入れる。

 「先輩、私達ももっと構って下さい!」

 ピンクがレッドに絡む。

 「新人教育は私が受け持つよレッド君♪」

 ブラックも絡み出す。

 「いや、敵の方に集中しようぜ先輩なんだから~!」

 仲間達に注意しつつ戦闘員を殴り倒すレッド。

 「その通りですわ!」

 「レッド様に続きます!」

 イエローとゴールドの黄金コンビがレッドに続く。

 「シルバー、後ろだよ!」

 「ありがとうございます、ブルーさん♪」

 ブルーが銃撃でシルバーの背後を狙う戦闘員を倒す。

 

 「なんだあのレッドのモテっぷりは!」

 アナグマの怪人が憤り、ブハ~~~ッと尻から黄色いガスを放つ。

 「アナグマじゃなくてイタチか、ガスなら爆発だレッドブルファイヤー!」

 レッドが火炎放射を行なえば、アナグマ怪人とその周囲にいた敵の戦闘員が爆発で吹き飛ばされる。

 「止めを行きますよ! シルバーグレイヴ、サークルシュート!」

 シルバーが先端が銀の三日月型の薙刀を振り回せば、大きな銀色のリング状のエネルギーが生まれてアナグマ怪人へと飛んで行く。

 「喰らってたまるか!」

 「逃がしません!」

 「うぎゃ~~~っ!」

 アナグマ怪人は避けようと逃げ回るが、銀の輪は怪人を追いその体を容赦なく輪切りにした。

 「今回の敵は、巨大化はしなかったな」

 怪人が撃破されたのを見届けたレッドが呟く。

 「みなさ~ん♪ 初撃破しました~♪」

 シルバーが仲間達に喜びながら手を振った。

 「おめでと~~~♪」

 ブルーが陽気に手を振り返す。

 「おお、ナイスファイト♪」

 レッドも褒める。

 「やはりシルバーもやるな」

 「戦闘能力はありますね」

 ブラックとピンクは冷静に分析をする。

 「やれやれですわね、ゴールドさん?」

 「まあ、皆レッド様が好きなのは同じですからいつか必ず仲良くなれます♪」

 ゴールドは揺るがなかった。

 「それじゃあ、皆ここで変身を解いてピクニックをしようか?」

 レッドが変身を解くと、その場にいた皆も変身を解いた。

 「わ~~~い♪ 皆で、ピクニックだ~♪」

 シルバーナは満面の笑みで喜んだ。

 「シルバーちゃん、強かったわね~♪」

 「心強いわ~♪」

 エレトとケトが弁当箱を持ってやってくる。

 平和になった草原で、戦隊達の懇親会を兼ねたピクニックが開かれた。


 「一応、彼女もルナの街の冒険者管理協会にも登録しないといけませんね」

 桃花が呟く。

 「私も冒険者になっていろんな所へ出かけてみたいです♪」

 シルバーナが気合を入れる。

 「偽名はバーナで行こうか、流石に聖像と同名だとややこしいから」

 輪人が提案する。

 「バーナ、愛称って良いですね♪」

 輪人に愛称を名付けられて喜ぶシルバーナ。

 「輪人君、そう言う所だぞ?」

 純子がジト目で呟く。

 「さりげなく自然に溶け込んで来ますからね」

 ヴィクトリアが溜息をつく。

 「本当にたらしで困っちゃうよ」

 ヒナミもポロンとギターを鳴らす。

 「流石に、もうこれ以上増える事はないと思いますから♪」

 ジーラが未来を読むかのように笑う。

 「勇者ちゃんにはケロっと責任を取ってもらいましょう♪」

 ケトは一人で酒を飲みながらケロケロと笑う。

 「私は、皆で仲良く暮らせれば気にしないわ~♪」

 エレトは懐も母性も広かった。

 「先輩、私達も愛称で呼んで下さい!」

 桃花は輪人に食いついて行く。

 「……え~っと、桃ちゃんとかか?」

 輪人が呟くと、桃花は笑顔になった。


 「取り敢えず、俺もエレトさんの弁当を食わせて欲しいんだけど?」

 楽しい行事のはずのピクニックで、気が休まらない輪人。

 「じゃあ、誰が輪人にお弁当を食べさせるか&お弁当を食べさせてもらうかのゲームをするね!」

 ヒナミが提案して来た。

 「良いね、輪人君にはたっぷりご奉仕してもらおうか♪」

 純子が乗って来る。

 「膝枕などのオプションも付けていただきましょう♪」

 ジーラが悪乗りしてくる。

 「いや、そう言うの良いから普通に飯を食わせてくれ~!」

 叫ぶ輪人の意見は、民主主義的な多数決で却下された。


 そんなこんなで、輪人がメンバー全員と弁当の食べさせ合いや膝枕のさせ合いと

奉仕し奉仕されるピクニックは終わった。

 

 次の日、ルナの街の家に戻った一行。

 「新しい仲間の方ですね、宜しくお願いいたします♪」

 メトが笑顔で冒険者の身分証をシルバーナへ手渡した。

 「はい、宜しくお願いします♪」

 笑顔で受け取るシルバーナ。

 「そうそう、勇者様達が揃った所で気になるお話があります」

 メトが神妙な顔つきで語り出す。

 「魔王軍、それともムーナの教団?」

 輪人が尋ねてみる。

 「いえ、その辺りが不明瞭なので調査をお願いしたいのです」

 メトが話を続ける。

 メトが地図をテーブルの上に広げる。


 「ルナの街の北にあるガータ国と言う、山の中の小さな国がありまして」

 地図を指し示しながらメトが説明する。

 「何か、牛肉が美味しそうな所ね?」

 ヒナミが米沢を連想した。

 「地図からすると山の中の谷間の小国だね」

 純子も山形県を連想しつつ口にする。

 「ええ、牛肉が名物で巨大な鍋料理を振舞う祭りで有名な国です!」

 メトが驚いた顔をして戦隊一行を見る。

 「ああ、女神ジーラが俺達の故郷の世界を参考にこの世界を創造したと言う話はわかるかな? 俺達の故郷の世界にも同じ所があるんだ」

 輪人が申し訳なさそうに語る。

 「……すみません、そのお話は初耳でしたが勇者様達の様子を見た限り真実なのだなと感じました私もジーラ様の神官ですが世界創世の真実を聞かされて驚いてます」

 冷静に振舞おうとしているがメトが混乱している事に気付いた輪人。

 「先輩、現地の人にとんでもない情報を与えないで下さい!」

 桃花が突っ込んだ。

 「メトさん、大丈夫ですの?」

 ヴィクトリアがお茶を飲むように勧める。

 「会長さん、しっかり!」

 シルバーナが、目を開けたまま気を失って倒れたメトを受け止めた。

 小一時間後、持ち直したメトから話を聞く一行。

 「例年ですと、今頃がその大鍋祭りの時期で色々と依頼が来たりするのですが今年はまだそう言う動きがないので何かあったのではと?」

 メトが話を終える。


 「そうか、なら俺達が行って調べて来るぜ大鍋祭りとか楽しそうだしな♪」

 輪人がメトの話を引き受ける。

 「これが、皆さんが受けて来た裏依頼なんですね♪」

 シルバーナがわくわくした顔になる。

 「今回は、報酬もお出しできるかわからない頼み事なのですが宜しいのですか?」

 メトがもう押し分けなさそうに一行を見回す。

 「金なら俺達、そこそこあるから問題なしだぜ♪」

 輪人が笑う。

 「そうそう、勇者たるもの助けを求められたなら受けるさ♪」

 純子も笑う。

 「事件解決のついでに、私達で大鍋祭りを盛り上げて来ますよ♪」

 桃花も笑顔で答える。

 「桃花、大鍋の独り占めは駄目だよ?」

 ヒナミが笑いながら釘を刺す。

 「桃花さんも、大食いの気がありますしね♪」

 ヴィクトリアも笑う。

 「私も沢山食べたいです、美味しいお料理の為なら頑張ります♪」

 シルバーナも気合を入れる。

 「バーナも、食いしん坊属性だな♪」

 「たくさん食べるって、素敵な事ですよ♪」

 「だな、沢山飯が食えるってのは元気な証拠だ♪」

 シルバーナが笑顔で答えるのに輪人が笑い、皆が笑う。

 かくして、勇者達の次の裏依頼はガータ国への調査と事件解決となった。

 「美味しいご飯は正義だよね、魔王軍だろうが何だろうが私達は負けない!」

 食いしん坊さではメンバーで一番の純子が闘志を燃やす。

 「うんじゃあ皆、次の冒険に出かける用意をしようか♪」

 輪人の言葉に仲間達は応と答えた。

 「皆さん、どうかよろしくお願いします」

 自分の頼みを引き受けてくれた勇者達に頭を下げるメト。


 そして、準備を終えた戦隊一行は旅路を歩いていた。

 「こうして自分の足で歩くって、初めてです♪」

 フード付きの銀のポンチョを羽織り、白いチュニックとズボンにブーツの旅姿ではしゃぐシルバーナ。

 「そうか、バーナちゃんもこれからも色んな所に歩いて行こう♪」

 男装の剣士風の純子が優しくシルバーナの手を引く。

 「六人パーティーでの冒険ですわね♪」

 ゲームの知識を思い浮かべつつ微笑むヴィクトリア。

 「先輩、荷物はお願いしますね♪」

 桃花が最後列の輪人を見る。

 「おう、頑張るぜ」

 旅の荷物を背負った輪人がサムズアップする。

 

 街を出て野道を行く一行、彼らの前に近くの茂みを飛び出して現れたのは角の生えた兎型の生き物だった。

 「あれはホーンラビット、お肉は美味しいそうです♪」

 「そうか、なら狩ろう♪」

 シルバーナがグレイブを構え純子が剣を抜く。

 「野生のモンスターとエンカウントも旅の醍醐味ね♪」

 ヒナミはギターを構えた。

 「本当にここはRPGな世界ですわね」

 ヴィクトリアも斧を構える。

 「先輩、後方から更に兎型のモンスターが出てきました!」

 「マジか、やるぜ!」

 桃花と輪人は新手のモンスターに備える。

 そして、戦闘となったがそこらの野生のモンスターでは戦隊一行に勝てるわけもなくモンスター達は食用の肉と化したのであった。

 「皆で食べるホーンラビットのスープ、美味しいです♪」

 倒したモンスターで作った料理を満喫するシルバーナ。

 「最初は手間取ったけど、こう言う魔物を料理するのも慣れて来たな」

 輪人もスープを食べながらつぶやく。

 「ジーラさんのおかげですわね、倒した動物の魔物を魔法で食肉に加工できるようにしていただけたり」

 ヴィクトリアがジーラに感謝する。

 「私達のユウキブレスに、ちゃっかりお供え機能が付いてるのが抜け目ないね」

 ヒナミが未使用の器にスープを盛り付けて、ブレスレットを向けてスイッチを押すとスープの入った器が瞬時に消えてしばらくすると空の器が再び現れた。

 「すごい♪ これなら大鍋祭りで出て来る食べ物も、ジーラさん達に食べてもらえますね♪」

 シルバーナが微笑んだ、その笑みは月のようでもあり陽だまりのようでもある笑顔であった。

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