気がつくとおじさんばかりになるの巻
水木しげる作品といえば、「ゲゲゲの鬼太郎」が有名でしょうが、個人的に好きなのは「悪魔くん」です。
悪魔を召喚して使役するという設定が好きでした。テレビアニメ版のOPでも「君の命令を待ってる」と言っていますが、やはり悪魔に命令したいじゃないですか。
それに、漫画版、特に
そんな「悪魔くん」が2023年にアニメシリーズとして復活し、同時期に劇場版をやった「ゲゲゲの謎」に話題をかっさらわれたわけですが、私としてはやはり「悪魔くん」が好きでした。
そんなわけで「悪魔くん」リスペクトで何か書きたかったのです。
召喚者でなく召喚される側、自分の都合を差し置いて、召喚者を助けなきゃいけない側に視点を持たせたら面白いんじゃないかと考えました。
そして、主人公は男子小学生ではなく、女子小学生にしました。まあ、女の子のほうがええでしょう。
ということで、まんま「悪魔くん」の話が始まりました。なお、主人公が「悪魔王女」と名乗るのは、「怪物王女」を意識してのことです。「怪物王女」は「怪物くん」の翻案作品です。
ところが、第1話(このお話では「章」や「篇」の代わりに、「話」を使っています)を書き終えたところで、あることに気がつきます。
この小説、主人公以外、名前が出ているキャラはおじさんばかりしか出ていないではないか。
では、整理します。
マルファス:地獄の総裁(大層な肩書だが、同じ肩書のやつはいっぱいいる)。烏頭のおじさん。
サタン:神の敵対者。おじさん。
紗季の母親:おじさんではないが、名無し。
驚異のおじさん率80%。これはまずい。
しかし、この時はそれほど、このことを脅威と考えていませんでした。
アスタロト:地獄の大公。おじさん。
あれ? また、おじさんだぞ。私は焦りました。けれど、突破口があります。アスタロトは二つの姿を持つ悪魔とされています。そこで、おじさんたるドラゴンの姿と、女神イシュタルの姿、二つの姿を揺らいでることにしました。
なお、誰からも突っ込まれないですが、女神イシュタルの声の美しさを例えるのに、
女神イシュタル:加藤みどり、小原乃梨子もかくやという美声。おじさんではない。
よし、これでおじさん率は71%。どうにか状況が和らぎました。
オノスケリス:若い女の悪魔。Wikipediaにも可愛いと書いてある。
ナベリウス:地獄の侯爵。ケルベロスと同起源の悪魔。犬の頭を三つ持ったおじさん。
よし、女の子率を上げたぞ。これで、おじさん率は64%。いい数字になってきましたね。
なお、洌鎌穰は性犯罪者を小説に出す人が多いなあと思い、彼らの気持ちを理解しようという気持ちで書きました。もう二度と出さんぜ。
第2話はここまで。第3話に入ります。
なお、ここで書き直した内容がありますので、せっかくだから供養することにしましょう。
◇ ◇ ◇
不動産詐欺
「へっへっへ、あっしはケチな悪魔でやすよ。人間の兄貴ィ、何か欲しいもんがあるんでしょう」
悪魔の誘いが響く。それに対して、男は心が揺らいだように見えた。
男の視線には鉄道模型が映っていた。精巧にできた模型だが、男の目には足りないものが多いと思える。
「い、いや、欲しいものなんて……。
Nゲージがもっとあればと思うし、駅舎も作りたいし、木も足りない。それに街並みを作るために必要なものがいくつもある」
男はその言葉を振り切ろうとするが、次第に欲しいものが浮かんできた。
「えへ、ねえ、そうでしょ。お金ですよ、兄貴。金さえあれば、そのどれも手に入るんですぜ」
悪魔の声はそれにつけ込んでくる。
その言葉によって、男の願望は増幅されていくようだった。
「け、けど、俺はお金なんて稼いだことない。バイトだってしたことないし。
怖いよ、お金を稼ぐなんて……」
男は躊躇した声を上げる。しかし、悪魔は遠慮しない。
「いい手があるでげすよ。なぁーに、面倒なことはあっしがやるでげす。ちょっと不動産詐欺の片棒を握っていただくだけでやんす」
「あっ、見えた! 不動産詐欺を勧めている悪魔が!」
俺は思わず叫び声を上げた。急に大きな声を上げたせいか、紗季とオノスケリスがビクッとした反応をする。
しかし、紗季はすぐに落ち着きを取り戻し、俺に尋ねてきた。
「よくやったじゃない。それで、」
◇ ◇ ◇
こいつっ! 引きこもり無職で鉄道模型マニアのおじさんを出す気だったのか……! しかも、「地面師たち」の影響で、穴だらけのガバガバな不動産詐欺を出しても許されると思ってやがる。
危ない、危ない。この方向は上手くいく未来が見えなかったので、変えました。
ちゃんと女の子を出さなくちゃいけないと思いなおします。
アモン:地獄の侯爵。鳥頭のおじさん。
フェネクス:地獄の侯爵。フェニックスと同起源。鳥頭のおじさん。
サミジナ:地獄の大侯爵。ロバの姿のおじさん。
ヨナルデパズトーリ:メキシコ出身の悪魔。蛇の姿をしたおじさん。
メフィストフェレス:生まれてから5、600年ほどの年若い悪魔。おじさん。
フォラス:地獄の総裁。毛むくじゃらのおじさん。
ベリアル:地獄の王。笹垣弘毅に召喚された。おじさんかどうかは不明。
よし、女子が増えたぜ。これでおじさん率は67%。
なにぃっ! おじさん率が増えているではないか。悪魔をたくさん出したら、おじさんの悪魔ばかりだったってことか。
こいつは幸先が悪い。続く第4話だとどうなることやら。
ベルフェゴール:怠惰の悪魔。
ニスロク:地獄の料理人。料理以外のことなら何でもできる。鳥頭のおじさん。
サシペレレ:長谷川阿澄に召喚された南米の悪魔。獏に乗った小人。おじさんじゃない、かなあ。
ユルグ:ドゴン族の悪魔。青白い狐のおじさん。
虎人(妖虎):中国の悪魔。岡田等々力に憑依して虎人に変身。おじさん。
オセ:雪豹の悪魔。おじさんかは不明。
ガープ:地獄の総裁にして君主。筋肉の悪魔。おじさん。
レヴィアタン:嫉妬の悪魔。日本列島ほどの全長を持った巨大な海蛇。おじさんかは不明。
これは、どれだけおじさんがいたのか、見当もつかない。だが、不明はおじさんではないのだ。気持ちを楽にしよう。
おじさん率は63%。よし、おじさん率が減った。だが、依然として過半数を超えているのはどうなのか。
というか、ベルフェゴールまでは悪魔を女の子にすることを意識しているけど、それ以降は女子を出そうとする意欲さえないのではないかと疑ってしまう。
さて、最終話である第5話に入りました。どうなるのでしょうか。
アガレス:地獄の公爵。老人の姿をしたおじさん。
エルゴス:地獄の公爵。騎士を思わせる軍人。おじさん。
ギルガメッシュ:おじさん。
モーセ:おじさん。
ソロモン:おじさん。
イエス・キリスト:おじさん。
ダンテ:おじさん。
バエル:地獄の王。東方の支配者。蛙男と呼ばれているので松下一郎版「悪魔くん」へのリスペクトキャラでもある。おじさん。
なんという、おじさんラッシュ……。もはや、紋瑞紗とYHVYが我らの希望だ。
おじさん率は66.6666666666…%。バカな、まだおじさん率が上がるというのか!
どうやら油断していると、おじさんばかりになってしまうようです。悪魔が題材だからかもしれませんけど!
皆様も
というわけで、美少女キャラがいっぱい登場する悪魔と欲望のハーレム小説「社畜のおっさんが悪魔の力に目覚め、女子小学生に召喚されて使役される話」をどうぞよろしくお願いいたします。
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